実践!事業承継・自社株対策
高齢の創業者への退職金【実践!事業承継・自社株対策】第312号

2026.08.12
Q:当社は父が創業した同族会社で、現在は父が代表取締役会長、私が代表取締役社長になっています。
父は高齢ですが、まだまだ会社経営に対して貴重な意見を言ってくれており、当然、役員報酬も支給しています。
ただ、やはりどこかでは退任してもらい、退職金を支払わなければと考えています。ところが、父はその気はないようで、まだまだ関わっていきたいようです。
父にはかなりの現預金や上場有価証券、不動産も所有しており、退職金を支払うのもどうかなと思う気持ちもありますが、退職金の取り方によって税金面ではどのような違いがありますか。
なお、母も健在で、私を含めて子は3人います。
A:創業者の退職金をどうするかは、なかなか悩ましい問題ですね。
退任する時期や退職金の額、その財源、相続税への影響等々を考慮して検討していくことになるかと思います。
また、役員退職金規程があれば、それをベースに考えていく必要もあります。
退職金の取り方による税金で、大きく違ってくるのは、生前に退職して支給するのか、生涯現役を続けて亡くなられた時に、遺族に退職金を支払うか、です。
生前に退職金を支給する場合は、支給する時に所得税と住民税を計算して、その額を源泉徴収します。
退職金にかかる税金は、退職所得控除額を差し引いた額の1/2に税率を乗じて計算します。1/2課税になりますので、通常の所得よりも優遇されています。
ただし、税引き後の支給額はお父様の財産となりますので、亡くなられた時には、それに相続税がかかってくることになります。所得税と相続税が二重にかかるということです。
亡くなられたことにより退任する場合は、死亡退職金となり、遺族に支給されます。この場合には、相続財産となりますが、死亡退職金の非課税枠があります。
非課税枠は、500万円×法定相続人の数、となります。法定相続人は配偶者と子で4人ということですので、2,000万円ということになります。
これを超えた部分に相続税がかかってきます。
死亡退職金の場合は、所得税はかからず相続税のみ、となります。
もちろん、退職金をいつ支給するかは、お父様がいつまで会社経営に関わりたいか、関われるか、によります。
ただ、お父様は相当の財産をお持ちであり、特に大きな支出の予定がないのであれば、退職金を支払えば、その分、税金が増えていくことになります。
相続税の場合、最高税率は55%となっており、退職金で財産が増えた分の半分が税金で持っていかれるということになる可能性もあります。
退職金にかかる税金を最低限にするのであれば、死亡退職金を、非課税枠の2,000万円以内で取れば、税金はゼロということになります。
退職の時期とともに、それぞれのケースをご検討いただければと思います。
《担当:税理士 北岡 修一》
編集後記
あっという間に8月も初旬が過ぎようとしています。
来週は山の日もあり、それも含めて夏休みを取ろうという方が多いですね。私も少し休もうかと思います。娘が海外から帰ってきていますので、いくつか計画を立てています。
皆様も是非良い夏休みを楽しんでください。
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