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特例事業承継税制の「雇用8割維持要件」【実践!事業承継・自社株対策】第311号

特例事業承継税制の「雇用8割維持要件」【実践!事業承継・自社株対策】第311号

2026.07.30

Q:当社は製造業を営んでおりますが、数年前に特例事業承継税制を活用し、父より株式の贈与を受けました。

しかし、昨今の人手不足や自己都合退職が重なり、贈与時の従業員数30名が、現在は20名にまで落ち込んでしまって
います。

このままでは、特例事業承継税制の「雇用8割維持要件」を満たせず、猶予されている多額の贈与税を一括で納付しなければならないのではないかと大変不安です。

何か救済措置や対応策はあるのでしょうか。

 

A:結論から申し上げますと、雇用8割維持要件を下回った場合でも、特例事業承継税制では直ちに納税猶予が取り消されるわけではありませんので、ご安心ください。

適切な報告手続きを行うことで、実質的に納税猶予を継続することが可能です。

従来の一般措置では、経営承継期間(5年間)の平均で雇用の8割を維持できなければ、原則として納税猶予が取り消されていました。

しかし、特例事業承継税制ではこの要件が大幅に緩和されています。

具体的には、5年間の平均従業員数が贈与時の8割を下回ってしまった場合でも、その満たせなかった理由を記載した報告書を提出し、確認を受けることにより、実質的にこの要件は撤廃されたことになります。

貴社の場合、贈与時の従業員数が30名であれば、8割は24名です。

これを下回った理由が、経営悪化によるリストラではなく、昨今の労働市場における「採用難による人員不足」といった理由であれば問題ありません。

ただし、提出する報告書は、必ず認定経営革新等支援機関の意見が記載されているものに限られます。

また、業績悪化が理由の場合や、同機関がその理由が正当でないと判断した場合は、同機関の指導および助言を受け、その内容も記載する必要があります。

国としても優遇税制の適用については、あくまでも、雇用を確保するため、事業を続けられるよう体制を整えた
い考えではあるようです。

もし、この報告や手続きを怠ったり、虚偽の記載をした場合には、納税猶予が取り消され、猶予されていた税額と利子税の一括納付が必要という重大なリスクにつながります。

期限内に確実に手続きを行うためにも、人員減少が見込まれる段階で、早めに認定支援機関である専門家の税理士へご相談されることを強くお勧めします。

《担当:税理士 青木 智美》

編集後記

早いもので7月も終わりを迎え、本格的な夏が到来しています。連日の猛暑や突然のゲリラ豪雨など、外を歩くだけでも体力を激しく奪われる毎日ですね。

いよいよ8月に入りますので、お盆休みでご親族が集まるこの機会に、会社の将来や事業承継について、少しずつ話し合いの場を持ってみてはいかがでしょうか。

熱中症や夏風邪にはくれぐれも気をつけて、この厳しい夏を健やかに乗り切りましょう。

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