実践!事業承継・自社株対策
非上場株式の評価方式見直しの方向性(4)【実践!事業承継・自社株対策】第317号

2026.09.10
Q:自社株評価の見直しに併せて、これまで行われていた評価額圧縮(租税回避)スキームにはどのように対応されるのでしょうか。
A:国税庁の有識者会議資料では、多種多様な評価額圧縮スキームを封じ込めるための明確な対応策が示されています。
主な対応の方向性は、以下の4点です。
1.会社規模操作への対応
大会社ほど評価額が低くなる仕組みを利用して、意図的に規模を操作するスキームに対し、規模に関わらず単一の評価方式を適用することで、操作性を排除します。
2.利益等の恣意的な操作への対応
オペレーティング・リースや多額の役員報酬・退職金等で一時的に利益を減らすスキームに対し、非経常的な損益を除外した「企業の正常利益」で評価を行います。
3.グループ法人税制活用への対応
完全支配関係法人間で、親会社の利益・資産を子会社に移転して親会社の株価を下げるスキームに対し、完全支配関係にあるグループ法人は「グループ全体として評価」し、子会社の株価を親会社へ適切に反映させます。
4.株主構成操作等への対応
無議決権株式や一時的な株式譲渡等によって配当還元方式を適用させ、評価額を著しく引き下げる(最大約98%圧縮の事例も存在)スキームに対し、適用対象となる株主の範囲を再整理します。
現在、何らかの株価対策を実行中、あるいは検討中のオーナー企業においては、従来のスキームが通用しなくなることを前提に、既存プランの早急な再点検と今後の改正動向の注視が不可欠となりそうです。
《担当:税理士 青木智美》
編集後記
9月も中旬に入り、朝晩の風にはいっそう秋の深まりを感じられるようになりましたが、日中はなお暑さが残る日々が続いております。
さて、10月からの下期スタートを目前に控え、事業承継に向けた体制の再確認や、後継者の方との対話し合いを進めるには非常に適した時期となりました。
秋の夜長に、会社やご家族の未来についてじっくりと思いを巡らせてみてはいかがでしょうか。
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