実践!事業承継・自社株対策
非上場株式の評価方式見直しの方向性(3)【実践!事業承継・自社株対策】第316号

2026.09.03
Q:前回のメルマガで評価方式の抜本的な見直しについて伺いました。
類似業種比準方式は、廃止される方向にあるようですが、純資産価額方式や配当還元方式は、どのようになるのでしょうか。
A:国税庁の有識者会議(第5回)資料に基づき、解説します。
●純資産価額方式の主な検討事項
純資産価額方式は、継続企業を清算価値で評価すべきではない、という意見から「特定の評価会社の株式評価方式」として、位置付けることが検討されています。
すなわち、株式等保有特定会社や土地保有特定会社などの特定の評価会社の評価方式として残す、ということではないかと思われます。
その上で、今後次のような課題を検討していくとのことです。
・評価方法の簡便化をどのようにすべきか?
・法人が取得した貸付用不動産の評価をどのようにすべきか?
・法人税額等相当額の控除をどのように整理すべきか?
・退職給付引当金等の負債の範囲についてどのようにすべきか?
・純資産価額方式により評価することが妥当と考えられる
「特定の評価会社」の範囲と判定の基準をどうすべきか?
●配当還元方式の主な検討事項
配当還元方式は、納税者の利便性や実務上の必要性から、「特例的評価方式」として存置される方向ですが、制度の趣旨を逸脱した濫用を防ぐため、次のような見直しが検討されています。
・適用株主の範囲・基準の整理
本来「配当を受け取る以外に利益を期待できない株主」のための特例であるという趣旨を徹底するため、対象となる株主の範囲が厳格に整理される方針です。
・評価額の乖離への対応
適用を受ける株主と適用外の株主との間で評価額に大きな乖離が生じている問題について、対応策が検討されています。
・従業員持株会との関係整理
固定価格で買い取る従業員持株会株式の取扱いとの関係をどう整理すべきかが挙げられています。
・計算方法(最低配当2.5円)の見直し
額面制度が廃止されている現状を踏まえ、現行の「最低配当2.5円」とする計算方法の修正が検討されています。
特例的評価方式としての位置付けがより厳しく定義し直される予定ですので、今後の動向に注意が必要です。
《担当:税理士 北岡修一、税理士 青木智美》
編集後記
配当還元方式は極めて低い評価額で株価を算定できるため、自社株対策や事業承継の場面で活用されてきました。
しかし、本来の趣旨から外れた利用に対する見直しが入ることで、今後の自社株移転スキームには大きな影響が出そうです。
次回は、各種の評価額圧縮(租税回避)スキームへの対応策について解説いたします。(青木)
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