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実践!社長の財務

引当金を厳しく見る【実践!社長の財務】第179号

引当金を厳しく見る【実践!社長の財務】第179号

2007.04.09

おはようございます、ではなく、今晩は!
税理士の北岡修一です。
 
土日月で、旅行へ行っていたため、こんなに遅くなってしまいました。
でも、せっかく続けているので、何としてでも月曜日に出したいと思い、先ほど帰ってきて、今書いている次第です。
(予約配信もできたのですが、忘れてしまいました...)

ということで、今日は前置きなしで、「実践!社長の財務」いってみましょう!

引当金を厳しく見る

先週は、減価償却の話をしました。
それと連動して、減価償却のセミナーのご案内もしましたが、あっという間にいっぱいになってしまい、とりあえずセミナー打ち止めとさせていただきました。

お申し込みいただいた方、ありがとうございます。
是非、皆様の役に立つセミナーをやりたいと思いますので、楽しみにしてください。

ところで、先週は減価償却費は、特殊な経費と書きましたが、もう1つ似たようなもので特殊な経費があります。

それは、引当金(繰入)です。
何が似ているかと言えば、当期に資金の支出がない経費、であるということです。

ただし、資金の支出がないことは同じでも、既に支払ってしまったのが「減価償却費」であるのに対し、「引当金」はこれから支払うものであるという点が、違うところです。

代表的なものには、賞与引当金や退職給付引当金などがありますね。

引当金は、確定した債務ではないけれども、将来発生する費用で、すでにその支払いの原因が当期に発生しているものを、合理的に見積もって計上するものです。

引当金は、会計上は、合理的に見積もって計上すべきものですが、税法上は、近年の改正の中で、ほとんどが廃止されてきており、

現在、損金算入が認められるものは、「貸倒引当金」と「返品調整引当金」の2つしかありません。

税法上は、確定していない債務は、よほど合理的に見積もれない限り、損金には認めない、という立場です。

それに対して、会計上は、当期に原因が既に発生しているものであり、将来かなり高い確率で支払いが発生するものであれば、合理的に見積って経費に計上すべき、という立場です。

近年、この税法と会計の差は、決定的に広がってきています。

以前は、近づけようという努力もありましたが、最近は、会計と税法は違うものと、割り切って、それぞれ独自の路線を行っているようです。

その差を埋めるために「税効果会計」というものがありますが...
(この話は、いずれしたいと思います。)

ところで、引当金は、中小企業・未上場企業であっても、将来支払う可能性のあるものは、できるだけ計上していくべきです。

税法で損金になる、ならないにかかわらず、計上すべきです。

たとえば、賞与引当金は、半年ごとに賞与を支給するのであれば、決算時において、あるいは毎月において、経過した期間に対応する賞与を見積もって、引当金を計上するべきです。

そうしておかないと、利益が過大計上されて、会社の業績を見誤ってしまいます。

また、退職給付引当金も、是非、計上して欲しいですね。

確定給付年金や確定拠出年金に加入している場合、中小企業退職金共済などに加入していて、それで退職金のカバーができる場合は、必要ありませんが、自社の資金から退職金を支払う場合には、退職給付引当金を計上すべきです。

もちろん、税法上は損金にはなりません。でも、計上することが重要なのです。

なぜ計上しなければならないのか、と言うと、それはバランスシート(B/S)を厳しく見て、筋肉質の経営をするためです。

ちょっとやそっとではつぶれない会社を作るために、是非、引当金を計上して欲しいのです。

将来、退職金を多額に支払わなくてはいけないのに、それがB/Sに載っていないとしたら、その状態を経営者は本当の姿(純資産はこれだ けある!)と思ってしまうからです。
 
勘違い、特に数字に関する勘違いほど、経営にとって恐ろしいものはありません。

懸念のある将来債務は、税法などに関係なく、是非、計上して欲しいのです。

たとえば、京セラさんなどは、メーカーでありながら「返品損失引当金」を計上しています。出版業や卸売業であるならともかく、メーカーで計上するのは珍しいのではないでしょうか?

また、京セラは、投資有価証券に対して「投資損失引当金」を計上しております。昨今では、時価がある一定の割合を下回れば、減損をするルールを定めている会社が多いですが、そうならなくても引当金を計上するという、厳しいルールで臨んでいるものと思われます。

これは、B/Sを厳しく見る、という経営姿勢が如実に現れている、と言えます。

そのような厳しい姿勢を採りながらでも、高い自己資本比率をあげていく、そういう経営が、会社を強くしていくのです。

是非、自分の会社なりの「引当金」の計上を考えてみてください。

編集後記

土日月の旅行は、四国・瀬戸内海だったのですが、すごく良かったです!桜が満開だっとのと、鳴門の渦潮の壮大さ、瀬戸内海を渡る「しまなみ海道」の美しさ...瀬戸内海の美しさを知ったのは、正直初めてでした。
また、ゆっくり行きたいなと思うところですね。

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