実践!事業承継・自社株対策
第3回目の有識者会議【実践!事業承継・自社株対策】第304号

2026.06.11
Q:つい先ごろ、取引相場のない株式の評価に関する第3回目の有識者会議が開かれたようです。
そこでは、どのようなことが議論されたのでしょうか。
A:第3回目の有識者会議では、日本商工会議所、日本税理士会連合会、櫻井久勝委員が、それぞれの立場から提出した資料を中心に議論が行われました。
商工会議所は中小企業の現場の立場から、税理士会は実務家の立場から、櫻井委員はアカデミアの立場からの意見です。
特に強烈だったのは、商工会議所の意見です。
この会議のそもそもの発端は、会計検査院による指摘です。
類似業種比準方式による評価額が、純資産方式に比べ低く評価される傾向にあるとか、規模の異なる会社間で評価額に大きなかい離が生じている、などの指摘です。
どちらかというと評価方式に関する指摘です。傾向としては、類似業種比準価額、特に規模の大きな会社の評価を上げていくような方向でした。
これに異を唱えたのが今回の商工会議所の意見だったのではないでしょうか。このまま議論が進むと中小企業の現場としては大変な方向になる、という危機感があったのではと思われます。
中小企業の経営者からの声として、次のようなものが挙げられています。(国税庁サイトより)
・雇用を守り、積極的な投資を行って、事業を成長させてきた結果、評価額が高くなり、非常に重い税負担を課せられている。
これでは成長を目指す中小企業はなくなってしまう。
・中小企業の事業承継の本質は「経営の承継」であり、事業承継に伴う株式の移転は「資産の承継」ではなく意義ある「名義変更」に過ぎない。その上、経営を継続する前提にも関わらず、純資産価額方式のような「解散価値」で株式を評価するのはおかしい。
・過大な税負担が、企業の合理的な行動を歪めて、企業の成長を阻害している。堂々と事業承継できるよう評価方法をを見直すべき。
・現在の評価方法は、「中小企業の株式は現金化が困難」という課題を反映していない。
・元は一般的なサラリーマンだったが、先代の急逝で、十分な貯金もない中で急遽、事業承継することとなった。多額の納税が必要となり、借金を背負って従業員の人生を守るか、自分自身の幸福を求めるかを天秤にかけるような気持だった。事業承継時の税負担は、後継者の負担能力に見合っていない。
・多額の相続税のために借金を抱えてまで会社を継ぐメリットがあるのかなと思ったが、後継者として事業を承継することが社会的な役割だと考えて引き継いだ。多くの後継者が、経済合理性だけでなく、地域や従業員のためにという価値観で行動していることを重視すべき。
中小企業の現場として、身につまされるような意見ですね。
是非、国税庁の有識者会議の資料を見ていただければと思います。
→ https://www.nta.go.jp/about/council/nai-hyoka/20260604/pdf/03shiryo_kabukaigi.pdf
《担当: 北岡 修一》
編集後記
有識者会議では、様々な方面からの議論がされているようで少し安心しました。今後これらの意見を聞きながら、どのような方向でまとまっていくのか、注目したいと思います。
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