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配偶者居住権と相続税【不動産・税金相談室】

配偶者居住権と相続税【不動産・税金相談室】

2022.07.08

Q 高齢になってきたので、遺言を書こうと思っています。
私の自宅には、配偶者と長男が同居しています。

最近、配偶者居住権というものができたと聞きました。
自宅の相続について、配偶者居住権を設定すると、相続税にどのような影響があるのでしょうか?

A 配偶者居住権とは、残された配偶者の老後の生活を安定させるため、被相続人の死亡時に住んでいた建物に、亡くなるまで、または一定の期間住み続けられる権利です。

配偶者居住権は、遺言や遺産分割協議で設定できますが、相続税の課税対象になります。
以下、具体的に配偶者居住権の相続税の取り扱いを説明します。

自宅を、長男が相続し、被相続人の配偶者のために配偶者居住権を設定するとします。
被相続人の自宅が、建物 800万円、土地 8,000万円の評価額だとしますと、配偶者居住権を設定することにより、たとえば、

建物 配偶者居住権(300万円) 長男の建物所有権(500万円) 合計 800万円

土地 配偶者の敷地利用権(3,000万円) 長男の建物所有権(5,000万円)合計 8,000万円
  
のように土地・建物の評価額が分かれ、それぞれ配偶者と長男が相続します。
配偶者居住権の評価は複雑ですので、ここでは詳細を省略します。

このようにすることで、配偶者が住み続けられることを保証することが、できますし、長男は、自宅に配偶者居住権を設定しない場合よりも、安い評価額で相続することができます。

また、配偶者が亡くなった場合には、配偶者居住権は消滅し、長男の自宅は相続税の対象にはなりませんので、この時点で、長男が、配偶者居住権がない自宅を、相続税なしで取得できたことになります。

この点は、配偶者居住権を設定することで、節税となる点です。
なお、最初の相続の際には、自宅を長男ではなく、配偶者が相続する方が配偶者の税額軽減を適用できるので、一般的には相続税は安くなります。

しかし配偶者の相続の際の相続税まで考えると、配偶者居住権を設定する方が、トータルの相続税は減らせる可能性があります。
専門家に試算を依頼してみるとよいでしょう。

ただ、配偶者居住権は、基本的に他人に譲渡できないことや自宅そのものの譲渡も難しくなるなどのデメリットもあります。
節税効果だけでなく、このようなデメリットも考慮の上で、設定するかどうかを決める必要があります。 

《担当:税理士 牛嶋 洋一 》

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