実践!相続税対策
自筆証書遺言がある場合の相続税申告の注意点【実践!相続税対策】第750号

2026.06.17
おはようございます。
税理士の宮田雅世です。
「もしものために遺言書を書こう」と考える方が増えています。手軽に書ける「自筆証書遺言」は、よく選ばれる方法です。
しかし、この遺言書が自宅で見つかった場合、その後の取り扱いに注意することがあります。
今回は、自筆証書遺言についての注意点などをお話しします。
まず、最も注意が必要なのが、裁判所での検認です。
自筆証書遺言(法務局保管を除く)を見つけても、絶対にすぐ開封してはいけません。
まずは家庭裁判所で確認を受ける必要があります。
勝手に開封するとペナルティがあるだけでなく、手続き自体が進まなくなってしまいます。
検認には1、2か月ほどかかることもあるため、相続税の申告にも影響があります。
次に、内容が法律の要件を満たしているか、という点です。
自筆証書遺言は、日付・氏名・本文をすべて本人が手書きすることや、押印があることなど厳しいルールが法律で決まっています。
せっかくの遺言書も、たとえば日付がなかったり、本文(財産目録以外)がパソコンで作成されているといった不備があると、無効になってしまうことがあります。
遺言が無効になると、当初の予定どおりに財産を分けられず、相続人全員での話し合い(遺産分割協議)をゼロからやり直さなければならなくなります。
最後に、税金の特例や遺留分の問題です。
遺言書通りに分ける場合でも、税金を大きく減らせる小規模宅地等の特例が正しく使えるかどうかは、慎重に判断する必要があります。
また、特定の相続人だけに多くの財産を遺す内容だと、他の相続人から不満が出て、法律上の最低限の取り分(遺留分)を請求されるトラブルも起こり得ます。
こうなると、10か月という申告期限までに話し合いがまとまらず、一旦、高い税金を払わなければならないリスクも、出てきてしまいます。
自筆証書遺言は、故人の想いが詰まった大切な書類です。手続きをスムーズに進めるためには、事前の確認が欠かせません。
もし、自宅から遺言書が出てきたという場合は、自分で開封する前に、まずは、専門家へご相談ください。
《担当:税理士 宮田 雅世》
編集後記
自筆証書遺言でも、法務局で保管してくれる制度もあります。「自筆証書遺言書保管制度」を活用される場合は、検認は不要です。
「遺言を書きたいけれど紛失や改ざんが心配」という方は、こちらの制度を活用してみると安心かもしれません。
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