実践!相続税対策
相続人が賃借人である場合の不動産評価【実践!相続税対策】第741号

2026.04.15
おはようございます。
税理士の北岡修一です。
相続が発生した際、被相続人が持つ不動産を相続人が借りていた場合、貸家建付地の減額などを受けることができるでしょうか。
たとえば、父親が亡くなり、長男が不動産を相続したとします。
その不動産には、1階は父親が住んでおり、2階は長男家族が住んでいます。
長男は父親に家賃を支払っていました。
父親は確定申告で、この家賃収入も申告していました。
この不動産を長男が相続した場合です。
いわゆる二世帯住宅ですが、家賃を払っているとなると、長男は同居扱いとはならず、賃借人となります。
そうなると長男が居住している部分に対応する土地の評価は、貸家建付地評価として20%程度減額することになります。
長男が住んでいる建物部分も貸家として30%減額することができます。
ただし、貸付事業用宅地等としての小規模宅地等の評価減(200m2まで50%評価減)は適用することができません。
相続する人が賃借人ですから、相続後は自分が所有者となり、賃貸事業は継続しないことになりますので、事業の継続要件を満たさないからです。
相続人が賃借人であって、その不動産を相続する場合は、貸家建付地評価や貸家評価はできますが、小規模宅地特例は使えない、ということですね。
ただし、家賃を父親に支払っていなかった場合は、どうでしょうか。
この場合は、建物が区分所有登記をされていない限り、長男は同居扱いとなります。
そうなると長男は、相続した土地について居住用の小規模宅地特例を適用することができます。
すなわち、土地の評価を330m2まで80%評価減することができます。
この80%評価減はかなり大きいですね。
貸家建付地評価は20%程度の評価減ですから、居住用の小規模宅地特例を使った方が、相続税評価額は大きく下がることになります。
しかも貸家建付地評価は、長男が住んでいる部分に対応する土地部分(1階2階が同じ面積なら1/2)だけの20%程度の評価減です。
居住用の小規模宅地特例は、父親の住んでいる部分も含めてすべての土地が80%評価減の対象となります。
1棟の建物に親子が住んでいる場合に、親に家賃を払ってしまうと、相続税が高くなってしまうということです...。
親の支援をするということであれば、何か別な方法を考えた方が良いかも知れませんね。
《担当:税理士 北岡 修一》
編集後記
親族間での家賃や地代の支払いは税務上問題があることが多いですね。このようなことは是非、税理士に確認していただいた方が良いと思います。
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