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従業員持株会を作る意義【実践!社長の財務】第985号

従業員持株会を作る意義【実践!社長の財務】第985号

2022.09.12

おはようございます。
税理士の北岡修一です。

従業員持株会は、元々上場企業において、従業員の財産形成や経営参加意識を高めるため、そして安定株主を作るために活用されていることが多いのかと思います。

ただ、昨今は非上場会社でも従業員持株会を作っている会社は多くなっています。

上場株式であれば、市場価格が付きますので、皆で頑張れば株価も上がって、モチベーションも上がりますし、財産形成にもなっていきます。

非上場会社では当然、このキャピタルゲインを期待することはできません。

ではなぜ、非上場会社は従業員持株会を作るのでしょうか?特に上場を目指さない非上場会社は。

その大きな理由の1つは、オーナーの相続税対策です。

オーナーが持つ自社株の評価は、原則的評価で行われることになります。

すなわち、純資産方式や類似業種比準方式により評価され、株価が高く評価されます。そのため、相続や事業承継においては、高い税負担をしなければならなくなります。

そこで、従業員持株会を作って、オーナーの株式の一部を譲渡します。

従業員は、同族関係者ではないですので、配当還元価格で譲渡することができます。

配当還元価格は、原則的評価に比べれば非常に低く評価され、年間10%配当くらいであれば、昔でいう額面金額程度となります。

高い株式が低い現金に変わることになり、税金対策になるというわけです。

持っていても現金化できるものではないですので、低い価格で売却しても構わない、ということです。

しかも持ってもらうのは従業員ですから、基本的には経営者の考えに賛同してくれるはずです。

また、毎年安定した配当をすれば、この低金利の中ですから、従業員にとっても財産形成の一助にはなります。

上場株式のようなキャピタルゲインは期待できませんが、逆に株価が下がることはなく、投資した金額以上の金額で最後は買い取ってもらえることができます。

もちろん、倒産しない限りですが。

さて、ここで疑問が湧くかも知れません。

従業員に売るのであれば、わざわざ持株会など作らなくても、従業員個々人に売ればいいではないか、ということです。

これには、もちろん理由があります。
従業員持株会を作ることにより、当然、規約を作ることになります。

その規約に、退職するときは株式を持株会に売却しなければいけないことを定めます。

また、その売却価格は、配当還元価格または、購入した金額に近い価格とする、などを取り決めます。

これにより、株式が分散されることを防ぐことができます。
これが従業員持株会を作る最も重要な意義ではないかと、私は考えています。

売却価格を配当還元価格などにするのは、次にこの株式を引き継いでくれる従業員が買えるようにするためです。

従業員持株会があることによって、退職したときに一時的に株式を買い戻すことができる。

そして、次の従業員にスムーズに株式を受け渡していくことができる。

そのような機能を、従業員持株会は担っていると言えるかと思います。

編集後記

先週末は私が所属しているロータリークラブがホストクラブ(主催)となって、地区大会を開き1,500人もの方が参加されました。
地区には70クラブがあるので、70年に一度のホストクラブです。
一生廻ってこないクラブもある中、とても貴重で楽しい体験をさせていただきました。
内容もすばらしいとお褒めの言葉もいただき、改めて所属するクラブに誇りを感じた2日間でしたね。

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