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同族会社に賃貸しているビルの承継【実践!事業承継・自社株対策】第309号

同族会社に賃貸しているビルの承継【実践!事業承継・自社株対策】第309号

2026.07.16

Q:当社は父が創業し私は2代目です。父は自身が所有しているビルの数フロアを自宅にして住んでいますが、その他は会社が使っています。

このビルの土地建物は、私が相続承継していく予定ですが、私は別な場所に自宅を所有して住んでおり同居していないため、小規模宅地特例は使えないのでしょうか?

 

A:小規模宅地特例は、大きく分けると居住用と事業用の宅地の相続税評価について、評価減を受けることができます。

居住用の方は、ご質問のとおり同居しておらず、自宅も所有している場合は、適用を受けることができません。

ただし、ご質問の状況であれば、事業用の方は適用を受けられる可能性があります。

同族会社に賃貸している場合は、特定同族会社事業用宅地の小規模宅地特例の適用を受けられる可能性があります。

この特例の適用が受けられると、その対象宅地については最高400m2まで80%の評価減をすることができます。

ただし、対象となるのはビルの敷地の内、同族会社に賃貸している部分に対応する敷地です。

具体的には自宅と賃貸部分の床面積の割合で地積を按分することになります。

 

なお、この特定同族会社事業用宅地の小規模宅地特例の適用を受けるためには、次の要件を満たしている必要があります。

 

1.宅地の要件
相続開始の直前から相続税の申告期限まで、一定の法人の事業の用に供されていた宅地

2.法人の要件
相続開始の直前において、被相続人および被相続人の親族等が、50%超の株式を保有していること
また、法人は不動産貸付業でないこと(不動産貸付業の場合は、貸付事業用宅地の小規模宅地特例の対象となる)

3.法人役員要件
その宅地を相続した親族が、相続税の申告期限においてその法人の役員であること

4.保有継続要件
その宅地を相続税の申告期限まで有していること

5.有償貸付け要件
被相続人がその宅地を、その法人に相当の対価(相場の家賃)で貸し付けていたこと

 

ご質問者の場合、同族会社で、事業を承継していく方が、その事業用の宅地を相続するということですので、ほぼ要件を満たしているのではないでしょうか?

かなり大きな評価減となりますので、上記要件をご確認の上、確実に特例が適用できるよう要件を満たしておくことが重要です。

《担当: 税理士 北岡 修一》

編集後記

特定同族会社事業用宅地は、個人で事業をやっている場合の特定事業用宅地よりも、要件を満たすのは簡単かと思います。

その意味で、事業で個人所有の土地を利用している場合などは、法人化しておいた方が、事業承継は容易になるのではと思います。
個人事業の方は是非、検討してみてください。

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