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相続税法における営業権の評価【実践!社長の財務】第891号

相続税法における営業権の評価【実践!社長の財務】第891号

2020.11.30

先日、ある会社の株価評価をした際、営業権の評価を行いました。

営業権は通常、会社がM&Aをした時など、買収価格が売却企業の純資産額を上回った場合に、その差額部分が営業権となります。

のれんとも言います。

このようなM&Aがあった場合には、貸借対照表上に営業権=のれんが出てきますが、通常は計上されていません。

ところが、相続税の株価評価では、超過収益力があると判断されると、営業権を計上することになっています。

では、どのように会社の超過収益力を見ることになるのでしょうか。

自社の超過収益力を判断するためにも、参考として計算してみても良いかと思います。

相続税評価では、財産評価基本通達165,166に規定されていますが、わかりやすく次のように3段階に分けてみます。

1.その会社の収益力=平均利益金額×0.5-標準企業者報酬額

2.超過収益力=その会社の収益力-総資産価額×0.05

3.営業権の評価額=超過収益力×10年に応ずる基準年利率による複利年金減価率

1で計算するその会社の収益力は、平均利益の1/2から標準的な役員報酬を引いたものとなります。

役員報酬は各社ごとの事情により違ってくるため、平均利益の計算上は役員報酬は引かず、その代わりに標準企業者報酬額を控除するようになっています。

標準企業者報酬額は、次のように決まっています。

・平均利益が1億円以下 平均利益金額×0.3+1,000万円
・同1億円超 3億円以下 平均利益金額×0.2+2,000万円
・同3億円超 5億円以下 平均利益金額×0.1+5,000万円
・同5億円超      平均利益金額×0.05+7,500万円

平均利益が、5,000万円の場合は、標準企業者報酬額は、5,000万円×0.3+1,000万円= 2,500万円 となります。

なお、平均利益とは、直近3年間の所得金額の平均または直前期の所得金額の低い方を使います。

また、平均利益には、非経常的な損益や繰越欠損金の控除などは、加味しないことになっています。

その他細かいことは割愛します。

1の計算式では、平均利益に安全性を考慮して0.5を乗じますので、平均利益が5,000万円の場合は、2,500万円になります。

したがって、そこから上記の5,000万円の場合の標準企業者報酬額2,500万円を控除すると、収益力はゼロとなります。

平均利益5,000万円未満は、営業権の評価はゼロということになりますね。

2で、超過収益力を計算しますが、それは1で計算したその会社の収益力から、標準的な会社の収益力を控除する、という計算式です。

標準的な会社の収益力を、この通達では総資産価額の5%と見ています。

いわゆるROAが5%を超えると、超過収益力があるということですね。

最後に3で、この収益力が10年間続くものとして、基準年利率で、現在価値に割引計算しています。

以上が、相続税法上の営業権の評価の概要です。

とりあえず、これで計算してみて、自社は税法上の営業権が出るのかどうかなど、試算してみるのも面白いかと思います。

なお、この営業権が計算される場合には、相続税の株価評価に織り込んでいく必要があります。

編集後記

いよいよ今日は11月最後、今年もあと1カ月残すのみとなってきました。今年はコロナ騒動に明け暮れましたが、今年やるべきことはあと1カ月でしっかりやっておきたいですね。

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