実践!相続税対策
被保険者が被相続人でない生命保険契約【実践!相続税対策】第748号

2026.06.03
皆様、おはようございます。
資産税部の太田遼です。
先日、お客様より「生命保険金が支払われないのに相続税の対象になるのですか?」といったご質問をいただきました。
そこで今回は、相続で見落とされがちな生命保険契約について、お話しさせていただきます。
通常、生命保険といえば、亡くなった方(被相続人)が「被保険者」となっており、亡くなったことをきっかけに、死亡保険金が支払われるものをイメージされるかと思います。
この場合の死亡保険金は、「みなし相続財産」として相続税の課税対象となりますが、「500万円×法定相続人の数」という非課税枠が設けられています。
ただ、こうした契約とは異なり、契約者(保険料を負担している人)が被相続人で、被保険者が配偶者や子どもなど、被相続人以外の人になっている生命保険契約がある場合には、注意が必要です。
たとえば、父親が契約者として保険料を支払い、母親を被保険者、子どもを受取人としているようなケースです。
この場合、父親(被相続人)が亡くなった時点では、被保険者である母親は健在ですので、当然ながら死亡保険金は支払われません。
では、この生命保険契約は、相続税の扱いにおいては、どうなるのでしょうか。
死亡保険金は出ませんが、父親が保険料を負担していたことにより、「保険契約を継続する権利(または解約すれば解約返戻金を受け取れる権利)」は、相続人に引き継がれることになります。
これを「生命保険契約に関する権利」と呼び、相続税の課税対象になります。
この「生命保険契約に関する権利」の評価額は、原則として、被相続人が亡くなった日に、その保険を解約した場合に支払われることになる「解約返戻金の額」によって評価することになります。
ここで、注意しなければならないポイントが2点あります。
1つ目は、冒頭でお話しした死亡保険金の非課税枠である(500万円×法定相続人の数)が、この生命保険契約に関する権利には適用できない、という点です。
これはあくまで「権利」の相続であり、死亡保険金の受け取りではないため、税負担が軽減されない性質を持っています。
2つ目は、通帳の履歴などから保険料の支払いは確認できるものの、死亡保険金が動かない(保険会社から通知が来ない)ため、相続財産から漏れてしまいやすい、という点です。
後から税務署の指摘を受けて、ペナルティの税金がかかるケースも多いため、被相続人が契約者になっている保険がないか、保険証券などをしっかりと確認することが大切となります。
このように、生命保険は被保険者、保険料負担者、保険金受取人が誰になるかによって、相続時の税金の扱いが大きく変わってきます。
ご家族の保険契約の状況で、相続税への影響が気になる場合は、ぜひ専門家にご相談いただければと思います。
《担当:資産税部 太田 遼》
編集後記
5月も終わりを迎え、間もなくジメジメとした梅雨の時期がやってきますね。
天候の変化で体調を崩しやすい季節ですが、私は西新宿の美味しいランチ巡りでしっかり栄養と活力を蓄えつつ、リフレッシュを図っていきたいと思います。
皆様も体調管理にはくれぐれもお気をつけくださいませ。
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