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実践!相続税対策

相続贈与課税の税制改正【実践!相続税対策】第573号

相続贈与課税の税制改正【実践!相続税対策】第573号

2022.12.22

皆様、おはようございます。
税理士の北岡修一です。

令和5年度税制改正大綱が、先週12月16日与党より発表されました。

ここ数年注目されていた相続税、贈与税の一体課税等がようやく改正されましたね。(まだ成立したわけではありませんが)

ただ、大きな枠組みを変更するのではなく、今ある制度を手直しする改正です。

贈与をした場合の課税方式には、毎年110万円までは贈与税がかからない暦年課税制度と、累計2,500万円まで贈与税はかからないが、贈与した財産は相続財産に組み込まれ、相続税で精算する相続時精算課税制度、の2つがあります。この2つはいずれかを選択することができます。
(相続時精算課税を選択するには、一定要件があります)

さらに、暦年課税贈与をした場合は、相続前3年間の贈与は、相続財産に加算されることになっています。(生前贈与加算)

今回の改正は、この生前贈与加算と、相続時精算課税制度が、改正されることになりました。

まず、生前贈与加算については、相続前3年間が7年間に延長されます。

加算される期間が長くなりますので、相続税対策はちょっとやりづらくなりますね。

生前贈与をするのであれば、早くから行う必要が出てきます。

早い段階から、若い人たちへの財産移転を促進する、という狙いがあります。

ただし、延長された4年間については、合計100万円までは、相続財産には加算しない、ことになっています。

少額の贈与まで、管理、把握するのは大変だから、ということです。

この改正は、令和6年1月1日以降の贈与から順次加算対象になってきます。

したがって、丸々7年間加算されるのは、令和13年1月以降の相続になります。

相続時精算課税の改正は、相続時精算課税にも基礎控除が設けられることです。

相続時精算課税を選択した場合は、その後の贈与についても、累計2,500万円までは贈与税がかかりませんが、少額の贈与であっても、申告をしなければなりませんでした。

これが、結構もれることが多かったですね。また、少額のものは贈与なのか、生活費支援なのか、お祝いなのか、不明な点も多かったと思います。

そこで、相続時精算課税を選択した場合でも、その後の贈与については、年間110万円の基礎控除を設け、その金額までは申告不要、累計計算にも含めない、ということになりました。

その部分は、相続財産には加算されない、ということですね。

暦年課税の場合は、相続前7年間は110万円以下であっても、相続財産に加算されるのに対して、この部分は相続時精算課税の方が、有利ということになりますね。

相続と贈与の一体課税を推進しよう、という意図があるのかと思います。

なお、上記の改正も、令和6年1月1日以降の贈与による財産について適用されることになります。

その他、相続時精算課税の改正では、贈与を受けた土地・建物が、災害により一定の被害を受けた場合は再計算できる、というものがあります。

今までは、被害を受けて評価が下がったとしても、贈与時の価額で相続財産に加算しなければいけなかったので、これは良い改正かと思いますね。

以上、その他にも資産税がらみの改正がありますので、順次紹介していきます。

《担当:税理士 北岡 修一》

編集後記

相続税、贈与税の一体課税については、様々な議論がされてきましたが、抜本的に変えていくことはできませんでしたね。
現行制度の見直しがいいだろうということに落ち着きました。
ちょっと消化不良のような気もしますね。
贈与税の基礎控除ももう少し上がるというような話もありましたが、それは見送りで、全体的に見ても人々の行動を変えるようなインパクトには欠けるような気がします。

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