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実践!相続税対策

配偶者居住権とは?【実践!相続税対策】第560号

配偶者居住権とは?【実践!相続税対策】第560号

2022.09.21

皆様、おはようございます。
税理士の北岡修一です。

2020年4月1日より、配偶者居住権というものがが創設されています。

配偶者居住権とは、夫婦の一方が亡くなった場合に、残された配偶者が亡くなるまで、あるいは定められた期間、住んでいた自宅にそのまま無償で住むことができる権利をいいます。

通常の親子関係であれば、配偶者居住権などを設定しなくても、自宅を追い出されることはないと思います。

ただ、折り合いの悪い親子や、血のつながりのない前妻の子と遺産争いになった場合には、その可能性もあり得ます。

そこで、土地建物は子どもが相続しても、配偶者居住権を設定することにより、配偶者が自宅に住み続けられるように、この権利が創設されました。

配偶者居住権が成立するには、次の要件が必要です。

1.亡くなった人の配偶者であること
2.その配偶者が、亡くなった人が所有していた建物に、亡くなったときに居住していたこと
3.遺産分割、遺贈、死因贈与、家庭裁判所の審判により、配偶者居住権を取得すること

また、配偶者居住権は登記をすることにより、第三者に対抗することができます。

配偶者が、自宅に住み続けるには、自宅の土地建物を相続すればいいだけでは、と思われるかも知れません。

ただ、自宅の土地建物を相続すると、それだけで配偶者の法定相続分に達してしまい、現預金など他の財産を相続できなくなってしまうこともあります。

そこで、土地建物よりも評価の低い、配偶者居住権のみを相続することにより、居住権を確保しつつ、他の財産も相続することができる、というメリットがあります。

配偶者居住権を設定することにより、自宅の土地建物は、次の財産に分類されます。

<建物>
・配偶者居住権
・建物の所有権

<土地>
・敷地利用権
・土地の所有権

配偶者は、配偶者居住権と敷地利用権を相続することになります。

それぞれの評価方法は割愛しますが、土地建物ともに2つの財産に分けられますので、それぞれ評価は低くなります。

もちろん、2つの財産を合わせれば、土地建物を単独で相続した場合の評価額と、同額となります。

なお、敷地利用権および土地の所有権は、両方とも小規模宅地特例の対象となります。

配偶者居住権は、終身で設定することが多いですので、配偶者が亡くなると、配偶者居住権は消滅することになります。

そうなると、その土地建物は完全な所有権となり、所有権を持っていた子などの土地建物の価値が上がることになります。

この価値の上がった分については、単に配偶者居住権が消滅しただけですので、相続税は課税されません。

配偶者居住権を設定すると、その設定した一次相続では節税にはなりませんが、二次相続で結果として節税になる、ということになりますね。

配偶者居住権を設定する場面としては、親子関係が良くない場合の他、二次相続の節税を意識して行う場合もあるのかも知れません。

また、土地建物を配偶者の家系に引き継がせたくないときに使うこともあるかも知れません。

配偶者居住権の設定であれば、配偶者が亡くなったときに、その土地建物は配偶者の相続財産ではありませんので、配偶者の家系に行くことはない、ということです。

このような配偶者居住権もあるので、遺言を書くときなどは、これも考慮しておくと良いのではと思います。

《担当:税理士 北岡 修一》

編集後記

台風一過で天気が良くなるのかと思いましたが、そうでもないようですね。
昨日の夜は屋外で会食をしましたが、結構涼しいというか、風もあって寒いくらいでした。
でもお酒が入るといつの間にか寒さも忘れて熱くなってしまいますね。

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