不動産 税金相談室
不動産を換価分割した際の税金【不動産・税金相談室】
2025.06.17
Q 母が亡くなり、母が長年暮らしていた自宅を売却しようと考えています。税理士に相談したところ、「相続税はかからない」とのことだったので、司法書士に依頼して、以下の内容を含む遺産分割協議書を作成する予定です。
・自宅の売却を前提とした「換価分割」の方法を採用
・長女である私が代表して売却手続きを行う
・売却代金から登記費用や手数料などの諸費用を差し引いた残金を、他の相続人2人と3分の1ずつ分配する
この場合、売却代金を他の3人で分けるだけで良いのでしょうか?
また、自宅売却に伴う所得税はどのようになるのでしょうか?
A 遺産分割協議書に記載される換価分割による方法は、相続財産(不動産など)を売却後に、その売却代金を相続人で分ける方法です。
この場合、売却代金から売却の際に生じた登記費用であったり、手数料を控除し、それを3分の1づつ、他の相続人2人と分けます。
相続税はかからないとのことですが、不動産を売却することで、譲渡所得税が発生する可能性があります。
なお、譲渡所得税は、不動産の売却代金から、不動産の取得費、売却手数料などを控除した金額がプラスとなった際に発生してきます。
こちらですが、もしもプラスとなった場合、お母様が長年暮らしていたとのことから、不動産の所有期間が5年を超えているかと思われます。
そのため、長期譲渡となり、売却益に対して 20.315%(所得税と住民税)の金がかかってきます。
また、不動産を売却するには、名義を変更しないと売却ができないため、相続した人の名義で登記する必要があります。
今回の場合は、代表者である長女様の名前だけを登記して、売却手続きを行ったのではないかと思われます。
ただ、実際のところ、この不動産は相続人3名の共有財産であることから、遺産分割協議後のご自宅売却に伴う譲渡所得の申告は、長女様お1人が申告するのではなく、3人がそれぞれ行う必要があります。
つまり、上記の利益を3等分した金額に、税率をかけた金額が、それぞれの譲渡所得税となります。
なお、お母様が居住していた家屋が、お母様の死後空き家になっている場合は、一定の要件を満たすことにより、空き家の3,000万円特別控除の特例を、相続人3名でそれぞれ受けられる可能性があります。
この特例を受けるためには、様々な書類を用意しなければなりませんので、事前の準備が重要となってきます。
かつ、不動産を売却した年の翌年2月16日から3月15日までに、譲渡所得税の申告を行う必要もあるので、この期日に間に合うよう早めに手続きを行うことをお奨めします。
《担当:資産税部 太田 遼》
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