不動産 税金相談室
駐車場収入は誰のものか【不動産・税金相談室】
2025.06.10
Q 父が所有する土地を無償で借りて、駐車場経営することを検討しています。この場合、駐車場経営から生じる収入は、土地所有者の父のものではなく、経営している私のものになると考えて良いでしょうか。
A 駐車場経営の形態によって、どちらの収入になるか税務上の取り扱いが異なりますので注意が必要です。
まず、前提となる無償での借り受けについて考えてみましょう。
無償で借り受けることを使用貸借といって、ご質問のように家族間ではよく見られるものですが、この場合、無償による経済的な利益があったとしても、それにより贈与税の対象となるわけではありません。
ただし、相続等におけるその土地の評価方法には影響がありますので、将来の対策を検討される場合には、気を付けなければなりません。
家族間(個人間)の使用貸借は、贈与税の問題は生じないものの、将来の相続税等に影響するケースがあるという点にご留意ください。
次に、駐車場経営の収入の問題です。
駐車場の経営を予定されているのはご質問者とのことですから、その収入はご質問者のものとして認識したいところですが、駐車場経営の形態によって収入を計上すべき人が異なる取り扱いとなっています。
ポイントは「事業所得」になるか「不動産所得」になるかです。
駐車場経営の多くは、時間貸しや月極など駐車スペースを貸し出すのみで、入出庫管理・保管などのサービスを伴わない形態だと思います。
この場合、税務上は「不動産所得」として考え、その収入が帰属するのは土地を所有する方(ご質問の場合はお父様)です。
一方、単に駐車スペースを貸し出すのではなく、入出庫の管理・補助のために人を配置したり、保管のためのサービスを提供するなどしている場合には、税務上「事業所得」として取り扱うこととなり、経営(事業)をしているご質問者の収入として考えることになります。
ご質問者が検討されている駐車場経営がどのような形態であるのか分かりませんが、「事業所得」に該当するのか、それとも「不動産所得」に該当するのかによって、その収入が誰のものか異なる結果となりますから、検討にあたって注意するようにしましょう。
《担当:税理士 樋口 智勇》
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