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配偶者居住権と居住用不動産の贈与【不動産・税金相談室】

配偶者居住権と居住用不動産の贈与【不動産・税金相談室】

2020.07.31

Q 現在私は、家族間の仲が悪い(特に妻と子)こともあり、自分が亡くなった後のことが不安で、遺言書を書くことにしました。

30年以上にわたり婚姻生活を共にした妻に自宅を相続してほしいと考え、最近よく聞く配偶者居住権を相続させ、少しでも妻の取り分を増やそうと検討しています。
この場合の注意点等ありますか?

A 配偶者居住権を奥様に残される場合、『配偶者居住権を相続させる』という遺言でなく『配偶者居住権を遺贈する』という遺言の方)遺贈といいます。)が、よろしいかと思います。

遺贈とは、遺言によって財産を無償で渡すことをいいます。
『相続させる』と『遺贈する』は、言葉の違いだけで一見変わらないようにみえますが、今回の場合においては、大きな違いがあります。

まず、民法では『配偶者居住権が遺贈の目的とされたとき』に配偶者居住権を取得すると、規定されています。

このため『相続させる』と記載すると、民法に違反し規定の適用を受けられない場合があります。
特に家族間の仲が悪い場合、裁判まで争われる場合もありますので、注意が必要です。

また、奥様が相続時に、一人で自宅に住むのが怖いため、老人ホームに入りたいから、居住権の拒否をした場合、配偶者居住権の単独の放棄はできず、全財産の相続権を放棄したことになってしまいます。

さて、ここで配偶者居住権の設定が一番いい選択なのか、一度考えてみるのもいいかもしれません。

といいますのも、婚姻期間が20年以上の夫婦が居住用の不動産を贈与した時には、贈与金額から2,000万円控除できる規定があります。
こちらを利用すれば、相続前に無税で居住用不動産を 2,000万円まで贈与ができ、配偶者が所有者としてのその権利を取得することができます。

こちらを選択した方がよい理由として、配偶者居住権のデメリットがあげられます。

というのも、配偶者居住権の設定をした不動産の所有権を取得した相続人は建物維持の資金を負担する必要があります。
また、配偶者居住権がある以上、賃貸物件にも使えず、資金化もすることができません。
一部相続税を負担したにもかかわらず、所有者としてのメリットは少なく、負担が大きいように思います。

そうなると、所有者である相続人が、配偶者居住権のある配偶者が退去するような嫌がらせをする可能性もあります。
親族間の仲がよければ問題ないのでしょうが、親族間の仲が悪い場合においては、ない話ではなさそうです。

また、配偶者居住権は譲渡することができないため、売却して資金を取得し生活費に充てたり、老人ホームの入居資金に充てることもできません。

そう思うと、所有権を持っていた方が、権利者として主張できることが増えるような気がします。
いずれにしても、様々のことに留意して、検討する必要がありそうです。

《担当:青木》

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