実践!相続税対策
相続時精算課税を使う場合の覚悟【実践!相続税対策】第766号

2026.10.07
おはようございます。
税理士の北岡修一です。
令和6年より、相続時精算課税に年110万円の基礎控除ができたことにより、この制度を使った贈与が増えています。
改めて、相続時精算課税とは、60歳以上の親や祖父母から、18歳以上の子や孫に贈与をした場合、累計2,500万円まで(令和6年分からは年110万円の基礎控除もある)は、贈与税がかからない制度です。
累計で2,500万円を超えた場合は、その超えた部分に対して20%の贈与税が課されることになります。
また、その名のとおり、贈与者の相続時にはこの制度を使って贈与した財産は、贈与者の相続財産に加算され、相続税を計算することになります。
支払った贈与税がある場合には、計算された相続税から控除することができます。
令和6年分からできた基礎控除110万円は、2,500万円の定額控除とは別に控除することができ、この部分は相続財産に加算しなくてもよいことになっています。
通常の贈与(暦年課税)は、7年前まで遡って相続財産に加算されるようになりましたので、相続時精算課税を使って毎年110万円贈与した方が、得ではないかということで利用が増えている面もあります。
このようなメリットもある相続時精算課税ですが、もちろんデメリットもあります。
なかでも大きなものとしては、一旦相続時精算課税を選択すると、その贈与者との間では暦年課税に戻れない、ということです。
累計2,500万円という非課税枠がありますので、その後、贈与があった場合は、必ず申告をして、後いくらの非課税枠が残っているのか明示していく必要があります。
ただ、少額の贈与まで申告するのはどうか、ということで令和6年より110万円の基礎控除ができたことになります。
この範囲であれば申告する必要はありません。
相続時精算課税を選択した後の贈与は、相続までずっと管理されるということです。
逆に言えば、相続があった際、相続時精算課税を選択している場合は、その選択後、相続まで贈与があったかどうか、きちんと申告しているかどうかを、確認する必要があります。
税務調査などで、その点も厳しく見られる可能性があります。単なる現金贈与だけでなく、生命保険の解約返戻金や、名義預金などで贈与になる場合もありますので、注意が必要です。
贈与税は6年で時効(除斥期間6年)になりますが、相続時精算課税を選択した場合は、関係なく相続財産に加算されますので、その点は恐ろしいところです。
そう考えると、贈与者が若いうちは、相続時精算課税は使わずに、暦年課税を使っておいた方がいい、ということになりますね。
その後の贈与をずっと管理しなくてはいけないので。
ただ、大きなもの(不動産や自社株など)を贈与する場合はそうも言ってられないので、今後の贈与をしっかり管理するという覚悟を持って、相続時精算課税を使うことが肝要かと思います。
《担当:税理士 北岡 修一》
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