実践!事業承継・自社株対策
相続の際に自己株式を譲渡する【実践!事業承継・自社株対策】第307号

2026.07.03
Q:創業者である父親は高齢で、ほぼ引退状態ではありますが、まだ自社株を4割程度所有しています。
会社は私を含め兄弟3人で行っておりますが、最近の株高等で、株価も上がっており、もっと前から対策をしておけば良かったと、少し後悔しております。
父親は残りは相続の時に会社が買い取ればいい、と言っておりますが、それは得策なのでしょうか?
なお、当社は類似業種比準価額で評価できる会社であり、残りの株式は兄弟3人で持っております。
A:お父様が言うように、相続の際に自己株式を会社に買い取ってもらう、という方法は1つの選択肢になります。
通常、自己株式を会社に買い取ってもらった場合、譲渡益の多くの部分がみなし配当になります。
みなし配当は、譲渡所得ではなく、総合課税の配当所得になりますので、給与所得などと合わせて累進課税をされることになります。
そのため、高額の所得税・住民税が課される可能性があります。
また、会社に譲渡する際の価格は、比較的低く評価される類似業種比準価額ではなく、法人税法上の価格となります。
法人税法上の価格は、御社のように親族で100%持っている会社の株主は、類似業種比準価額と純資産価額を50%ずつ取った評価となります(小会社方式)。
また、純資産価額を計算する際には、土地や上場有価証券は時価で評価し、含み益に対する法人税等も控除できません。
したがって、高額の所得税等がかかるため、通常は避けたいところですが、相続の際には事情が違ってきます。
というのも、相続の際には特例があり、相続開始の日から3年10か月以内に行った自己株式の譲渡は、配当所得ではなく、譲渡所得になる、という特例です。
譲渡所得の場合には分離課税となり、譲渡益に対し約20%の税率となりますので、まとまった金額であればかなりの税金が優遇されることになります。
相続税の納税資金を考慮した特例です。
納税資金のために高く売ることができ、かつ、税金も通常より安いということで、お父様の言うように、相続の際に自己株式として売却するのも一法です。
ただし、40%もの株式を会社に譲渡するとなると、かなりの資金が必要となりますので、そのような点も考えておく必要もあります。
なお、事業承継税制の特例は来年末まで適用することができますし、3人の後継者まで使うことができますので、こちらを検討することも、まだまだ可能かと思います。
1つの方法に固定せず、他の方法も検討してみる必要はああるのではないでしょうか。
《担当: 税理士 北岡 修一》
編集後記
7月1日今年の路線価が発表されました。私も自宅の前の路線価を確認してみましたが、かなり上がっていましたね。この数年、上がり続けています。トータルすれば40%くらい上がっており、そろそろ止まって欲しいところですね。
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