東京メトロポリタン税理士法人

お問い合わせ

〒160-0023 東京都新宿区西新宿6-24-1 西新宿三井ビルディング17F

  1. HOME
  2. メールマガジン
  3. 実践!事業承継・自社株対策
  4. 生前贈与の加算期間(7年)と暦年贈与戦略【実践!事業承継・自社株対策】第302号

実践!事業承継・自社株対策

生前贈与の加算期間(7年)と暦年贈与戦略【実践!事業承継・自社株対策】第302号

生前贈与の加算期間(7年)と暦年贈与戦略【実践!事業承継・自社株対策】第302号

2026.05.28

Q:私は70歳を迎えてから、将来の相続税対策と後継者である長男への経営権移行を兼ねて、毎年少しずつ自社株の暦年贈与を行ってきました。

しかし、令和6年から生前贈与の持ち戻し期間が「3年」から「7年」に延長されたと聞きました。

このルール変更により、今後の自社株の贈与スピードや計画をどのように見直せばよいのでしょうか。

 

A:結論から申し上げますと、持ち戻し期間の7年への延長を踏まえ、自社株の移転は「より早期に、かつ年間の贈与額を増やして進める」か、あるいは要件が緩和された「相続時精算課税制度」への切り替えを検討すべきです。

令和6年1月1日以降の贈与から、相続開始前に贈与された財産を相続財産に足し戻す加算期間が、段階的に従来の3年から7年へと延長されます。

つまり、万が一相続が発生した場合、直近7年間に長男へ贈与した自社株は、せっかく贈与したにもかかわらず相続税の対象に引き戻されてしまうのです。

延長された4年間(相続開始前4年~7年)の贈与については、総額100万円まで加算対象から控除できるという緩和措置が設けられています。

しかし、評価額が高額になりがちな自社株対策において、この100万円の控除だけでは影響を吸収しきれません。

高齢になってから、年間110万円の基礎控除の範囲内で少額の贈与を続けても、対策効果が極めて薄くなってしまうことになります。

 

今後の戦略としては、大きく2つの方向性が考えられます。

第1に、暦年贈与を続けるのであれば、ご相談者様の健康状態を考慮しつつ、「年間の贈与額を増やし、移転スピードを上げる」ことです。

多少の贈与税を払ってでも、早期に自社株を後継者に移せば、将来の株価上昇による税負担増を防ぐことができます。

第2に、令和6年から年110万円の基礎控除が新設された「相続時精算課税制度」の活用です。

この制度を選択すれば、年間110万円以下の自社株贈与は申告不要となり、相続時に加算もされません。

さらに、2,500万円の特別控除枠を併用することで、まとまった自社株を一気に後継者に移転させ、以後の株価上昇分を相続財産から完全に切り離すことが可能になります。

贈与だけでなく、早いうちに後継者へ譲渡によって株式を移転していく、ということも考えられます。

 

ただ、焦って安易に低い株価で譲渡を行うと、「みなし贈与」として思わぬ多額の課税を招く恐れがあります。

新ルールの下では、自社株の正しい評価額を算定した上で、暦年課税と精算課税のどちらが有利か、緻密なシミュレーションが不可欠です。

会社の将来の株価動向も踏まえ、手遅れになる前に、事業承継・自社株対策に強い専門家へお早めにご相談いただければと思います。

《担当:税理士 青木 智美》

編集後記

5月も下旬に入り、吹く風に初夏の気配を感じる季節となりました。新緑がまぶしく、1年でもっとも過ごしやすい時期ですね。

日中は汗ばむ日も増えてまいりましたので、体調管理にはくれぐれもお気をつけいただき、健やかな日々をお過ごしくださいませ。

メルマガ【実践!事業承継・自社株対策】登録はコチラ
https://www.mag2.com/m/0001685356.html

税務・財務・経営のご相談はお問合せフォームへ

税理士セカンドオピニオン

<< 実践!事業承継・自社株対策 記事一覧