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役員借入金と相続税対策【実践!事業承継・自社株対策】第267号

役員借入金と相続税対策【実践!事業承継・自社株対策】第267号

2025.09.19

Q:父が代表である会社を、長男である私が承継していく予定です。ただ、会社は父より多額の借入(5,000万円)をしています。

この借入金、父から見れば貸付金ですが、これは将来、将来父の相続財産になるとのことで、どうしたものかと考えております。

会社は何とか黒字経営を続けていますが、それほど業績は良くないので、借入金を一気に返すことができません。
あまり突飛なことはしたくないのですが、何か対策はありますでしょうか?

A:会社の業績はあまりよくないとのことですが、やはりまずは、少しずつでも返済していくことが肝要です。

その上で、返済額を増やしていくために、他の支出を減らせないか、他から資金調達ができないか、を検討してみます。

最も簡単なところでは、お父様に対する役員報酬を減額し、その減額分を借入金の返済としてお父様に払っていくことが考えられます。

副次的な効果として、お父様にかかる所得税、住民税、社会保険料等を減らすことができます。
また、会社も役員報酬や法定福利費が減り、利益が増えることになります。

次に、お父様が一部貸付金の債権放棄をすることも考えられます。ただし、この場合は会社に債務免除益が計上されますので、法人税等が増えることになります。

また、それにより株価が上がった場合には、株主に対してみなし贈与課税が行われる可能性があります。

そのため、債権放棄は会社が赤字を出した場合や、繰越欠損金がある場合に、行った方が良いかと思われます。

さらに、お父様の貸付金を、将来会社を継いでいく親族等に贈与していくことも考えられます。

暦年贈与の基礎控除1人110万円以内であれば、贈与税はかかりません。ただし、相続人に対する相続開始前7年内の贈与(順次3年から7年に延長)は、相続財産に持ち戻されますので、注意が必要です。

ご質問のように金額が大きい場合は、110万円の基礎控除の範囲内にこだわらず、多くの借入金を贈与税を払ってでも贈与していくことも考えられます。

また、孫など相続人以外に対する暦年贈与の場合は、相続財産への持ち戻しは原則ありませんので、それを検討することも考えられます。

さらに、暦年課税ではなく相続時精算課税に新たにできた基礎控除110万円の枠を活用した贈与も考えられます。

最後に、会社がお父様を被保険者として、会社を受取人にした生命保険に入ることにより、お父様が亡くなられたときに、その保険金で相続人に借入金を返済することなども考えられます。

以上、上記をヒントに検討してみてください。

《担当:税理士 北岡 修一》

編集後記

今日は昨日とは打って変わって、非常に過ごしやすい気候になりましたね。これからは当面過ごしやすくなりそうで、ようやく、という感じがします。このまま猛暑に戻らなければいいのですが。

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