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役員退職引当金を計上しているか【実践!社長の財務】第719号

役員退職引当金を計上しているか【実践!社長の財務】第719号

2017.08.14

皆様、おはようございます。
税理士の北岡修一です。

今日は夏休みお盆休みという方が、多いかと思います。
私も今日は休みを取っているので、ちょっと遅くなってしまいました。

ということで、本日も「実践!社長の財務」よろしくお願いいたします。

役員退職引当金を計上しているか

先週は、月に1回はB/Sをじっくり見て欲しい、という話をしました。

これが今の会社の実態である、設立から○○年経営をしてきた結果、今、このようになっている、ということを把握して欲しいのです。

ただし、当然、その前提として、正しい会計が行われている必要があります。

B/Sは特に、経営者が見て、今後の戦略・方針を考える財務諸表ですから、正しい会計処理がされていないと、経営判断を間違えてしまう可能性があります。

正しい会計は、広範におよびますので、ここで全部書くことはできませんが、過去このメルマガでいろいろ書いてきました。

たとえば、売上の計上時期であったり、その売上に対応する原価、買掛金、未払金が正しく計上されているか。

在庫の評価や、仕掛品の計算方法、固定資産の減価償却や除却が適正に行われているか、などなど様々あります。

月次処理にかかわる会計処理は、損益にも影響してくることですから、概ね正しく処理されていることが多いでしょう。

ただ、B/Sは将来支払いが行われる費用で、当期に既に原因が発生しているものも、計上する必要があります。

いわゆる「引当金」というものですね。

たとえば、賞与引当金や、返品調整引当金、貸倒引当金、昨今ではポイント引当金などを計上することも多くなっています。

それぞれの説明は省略しますが、中小企業・小規模企業で特に注意しておいて欲しいのは、退職給付引当金、役員退職慰労引当金です。

これは従業員や役員に対する、将来の退職金のための引当金です。

退職金は、支払いは退職した時に発生しますが、退職金は毎期毎期既にその原因が発生していると、言えます。

退職金規定の内容によりますが、通常は勤続年数で退職金は計算することになります。

すなわち、毎年毎年退職金の支払い債務が、潜在的に増え続けている、ということです。

これを退職給付引当金として、負債に計上していく必要があるのです。

従業員の退職金については、退職金規定に基づいて、計上していることは多いですね。

ただ、役員退職金の引当金は、中小企業・小規模企業のB/Sを見ていると、計上されていないことが多いです。

役員の退職金規定がないので、計上していない、計上できない、という会社も多いかも知れません。

ただ、役員が退職したら、役員退職慰労金を慣例として払っている、あるいは払うだろう、ということであれば、やはり引当金を計上しておく必要があるでしょう。

特に社長、創業社長の退職金は多額になるでしょうから、もしこれが退職時に一気に計上されると、P/Lは大赤字になるとともに、B/Sの純資産も大きく減ることなってしまいます。

現状のB/Sを見ていて、純資産がそれなりにあると安心していても、役員、社長が退職したら、一気に純資産が吹っ飛んでしまうのかも知れません...。

まだ若い企業はともかくとして、それなりの社歴を積み重ねてきた企業は、役員退職金をどう手当てするのか、真剣に考え、それをB/Sに反映させていく必要があるでしょう。

役員退職金のために、よく逓増定期保険などに入っていることがあります。2分の1損金、2分の1資産計上などで。

この場合、損金になっている部分は、将来の解約返戻金分を簿外(オフバランス)で積み立てていると言えます。

したがって、そのオフバランス部分は除いて、役員退職引当金を計上していけば良いと思います。

上場企業は別として、非上場企業であれば、役員退職引当金をどのように計上するかは、最も自社の現状にあった会計処理を考えて、独自に行えば良いでしょう。

そもそも退職金の引当金繰入れは、税法上は損金になりませんので、税務面を気にする必要はありません。

是非、これらもB/Sに計上して、会社の現状の実態はどうなっているのかを、じっくり見て欲しいですね。

編集後記

先週は金曜日いつの間にかできた山の日で、お盆休みも兼ねて連休になっている方も多いのかと思います。私もこの連休は熱海にでも行こうと、家族と話していたのですが、連休の始まる前の日に親族が急逝し、急遽熊本に行ってきました。

ただ、お盆休み夏休みと重なってしまい、航空券がまったく取れず、妻子は東京から熊本まで自由席などを乗り継いで何とかたどり着きました。私は仕事のため1日遅れでいきましたが何と2席だけ福岡行きの航空券が残っており、それを取ることができました。ただ、残っていたのはファーストクラスのみ…。
ちょっと高かったのですが、こんな時でないと乗らないだろうと、思いがけず豪華な旅になってしまいました(笑)。

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