東京メトロポリタン税理士法人

お問い合わせ

〒160-0023 東京都新宿区西新宿6-24-1 西新宿三井ビルディング17F

  1. HOME
  2. メールマガジン
  3. 実践!社長の財務
  4. 新たな事業承継税制とは?【実践!社長の財務】第261号

実践!社長の財務

新たな事業承継税制とは?【実践!社長の財務】第261号

新たな事業承継税制とは?【実践!社長の財務】第261号

2008.11.03

皆様、おはようございます。
税理士の北岡修一です。

10月30日追加経済対策が出ましたね。
土日のTV番組など、賛否両論様々ですが、このような時期には素早い対策を出していくことが大事なのかと思います。

やはり気になるのは、中小企業向け支援です。
中小企業向けの緊急保証枠と政策系金融機関の貸付枠を、21兆円追加して、8月末の総合経済対策と合わせて30兆円にするということです。

ただし、実際には焦げ付きに備えた5,000億円だけを支出するということで、30兆円はあくまで枠に過ぎません。

この枠がどのように使えるのかが大事ですよね。今、非常に苦しんでいる不動産業や建設業、その他の業種も例外なく厳しい中、具体的な対応はどうなるのか、これを今週から模索していかないといけないですね。

実務的な面で皆様にお伝えできるようなことがありましたら、このメルマガでも伝えていきたいと思います。

ということで、本日も「実践!社長の財務」いってみましょう。
 
 

新たな事業承継税制とは?

さて、先週からの引き続きですが、今年10月1日に施行された「経営承継円滑化法」では、事業承継に対する税制が、最も大きな目玉です。

何と、自社株に対する相続税を、80%猶予する、というものだからです。

今まで、同族会社の株式は、相続税評価が非常に高くなってしまうこと、そして、換金性がないことから、事業を承継して、自社株を相続するには、非常に重く厳しい相続税負担をしなければならなかったのです。

それが、8割を猶予してくれるのですから、これは非常に大きいです。

今まで、この自社株対策に、どれ程頭を悩ませていた会社が多いか...その対策が、場合によっては、もう不要になる、ということでもあるのです。

しかし、この相続税の納税猶予、簡単には受けさせてくれません。いくつかの条件があります。

まずは、対象となるのは中小企業であること。
その資本金および従業員数の条件は、先週書いたとおりです。

次に、被相続人(親)の条件。
・会社の代表者であったこと。
・同族で株式を50%超保有し、その中で筆頭株主であったこと。

これは多くの同族会社が、大丈夫そうですね。

その次に、相続人(後継者)の条件。
・会社の代表者であること。
・同族で株式を50%超保有し、その中で筆頭株主になること。

これは相続後ですので、そのようになるように相続することが大事です。
なお、兄弟が共同経営する場合は、1人だけがこの事業承継税制を受けられます。共同代表、同株数で筆頭株主、というのはダメです。

そして、最も厳しいのが、事業継続要件。
 
次の要件を満たしていく必要があります。
・相続税の申告期限後、5年間、代表者として経営を行なっていくこと。
・同様に5年間、雇用の8割を維持すること。
・また、5年間、相続した株式を保有し続けること。

この5年間に、上記のことを守れなかった場合は、猶予された相続税を利子税をつけて、全額納付することになります。

さらにその後においても、相続した株式を譲渡した場合には、譲渡した株式に対応する相続税を、利子税をつけて納付しなければなりません。

すなわち、80%の相続税は、なくなるわけではなく、「猶予」してくれているだけなんですね。

では一体いつになったら、相続税は免除してくれるのか、と言うと...それは、「死ぬまで」持っていた場合です...

後継者は、納税の免除を受けるためには、一生株式を持ち続けなければいけない、ということです。

あるいは、さらにその次の後継者に株式を移転した場合には、免除を受けられる、ということになります。

つまり、この事業承継税制は、代々に渡って事業を継承していくのであれば、安定して経営ができるように、80%の相続税はかけませんよ、ということなのです。

ずっと継続していく、ことがミソです。

途中で事業を売却したりすれば、その時に譲渡所得税と一緒に、猶予していた相続税も払っていただきますよ、キャッシュが入ってくるから大丈夫でしょ、ということです。
 
 
ただし、1点、注意しなければいけないのは、納税猶予の対象になるのは、発行済み株式の2/3まで、ということです。

被相続人が、100%持っているような会社では、2/3の80%までしか、相続税は猶予されない、ということですね。
猶予されるのは、約53%にしかなりません。

したがって、被相続人の株式は、生前から少しずつでも持株割合を下げていく対策もある程度は必要、ということになります。

以上、事業承継税制については、平成21年度税制改正で法案が決まり、平成20年10月1日に遡って適用することになりますので、詳細は今後明らかになってきます。

ご質問、ご相談等があれば、是非、返信メールください。

東京メトロポリタン税理士法人
税理士 北岡 修一
kitaoka@tmcg.co.jp

編集後記

3連休の最後、今日は文化の日ですね。
私も今日は、多少文化的なことを・・・というわけでもありませんが、ある顧問先が全国展開する、「○○文化大賞」の表彰式、集いに行ってきます。

メルマガ【実践!社長の財務】登録はコチラ
https://www.mag2.com/m/0000119970.html

税務・財務・経営のご相談はお問合せフォームへ

税理士セカンドオピニオン

<< 実践!社長の財務 記事一覧