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実践!社長の財務

資産にのせない具体例【実践!社長の財務】第197号

資産にのせない具体例【実践!社長の財務】第197号

2007.08.13

おはようございます。
税理士の北岡修一です。
 
皆さんは人材投資促進税制(教育訓練費の額が増加した場合の税額控除)は、ご存知でしょうか?
平成17年4月1日から導入されたものですが、あまり使われていない気がしています。(当社の顧問先でも非常に少ない)

いつもそうなのですが、制約が多過ぎるからだと思うのです。
前期以前よりも増えていないと使えない、社内の研修では使えない、役員などは対象にならない、などなど使わせないようにする規定がたくさん入っているのです。

この手の制度には、そういうことが非常に多いような気がします。
せっかく作る制度であれば、様々な会社が使いやすいように、使いたくなるような制度にすればいいと思うのですが、悪用や不当な使われ方を防ごうとするあまりに、頭のいい人たちが負の面を考えすぎているのだと思います。

先日の新聞に出ていたところでは、この制度の中小企業の利用額は年数十億円にとどまっているとのこと。全国300万社の中小企業でそれだけの金額ですから、相当使われていない制度といえるでしょう。

今案として上がっているのは、教育訓練費が増えなくても、総額の10%を税額から控除しようという案です。是非、来年度に向け「使える」制度にして欲しいですね。
 
ということで、本日も「実践!社長の財務」いってみましょう!

資産にのせない具体例

先週は、できるだけ資産にのせない、という話をしました。

それで今週は具体例を、と思って考えていたのですが、なかなかいい例がありません。

以前、セブンイレブンのお店をやっている会社のバランスシートを見たことがあるのですが、これは非常にシンプルでしたね。

店の営業そのものに特化したバランスシートでした。

資産には、現金預金と、商品、備品類、負債には買掛金と未払金、預り金や、本部との精算勘定くらいのものしかなかったと思います。(かなりうろ覚えですが)

とにかく、シンプルで営業に徹している、という印象でしたね。
とてもわかりやすいバランスシートで、感動しました。

でも、今はいろいろなサービスをやっているから、科目も増えてきているかも知れませんね。

ということで、できるだけ資産にのせないといっても、やはり業界の特性や日々の個別対応などに追われていると、どうしても中途半端な科目などが出てきてしまいます。

だから、なかなかいいサンプルがないのですね...

ということで、あとは最後の手段、当社のバランスシートを公開するしかないでしょう...といっても、科目だけですよ!

私も、これだけメルマガでこういうことを書いていますから、自分の会社でやらなかったら詐欺ですよね。

できるだけシンプルに、科目を減らし、落とすものはどんどん落とし、最低限の数字を見るようにしています。

これは毎月社員・スタッフ皆にも公開し、当社の現状をわかってもらうとともに、皆が顧問先に接するときに、身をもって指導ができるよう、自社の試算表で勉強するという思いも込めてやっております。

うちが模範にならなければ、決して顧問先を引っ張っていくことはできないと思っています。

ということで、今、手元に7月分の試算表を置きながら、当社のバランスシートの構成をご紹介します。

<資産の部>
流動資産
 現 金
 普通預金
 売掛金
 前払費用
 仮払消費税
 ▲貸倒引当金

固定資産
 建物付属設備
 器具備品
 ソフトウエア
 権利金
 投資有価証券
 保証金

<負債の部>
流動負債
 未払金
 預り金
 短期借入金
 仮受消費税
 賞与引当金

以上が、実際の試算表にのっている科目です。
いかがでしょうか?かなり整理されていると思いませんか?

もちろん、税理士法人という業種ですので、設備投資はそれ程必要ない、製造工程などもない、仕入はない、商品は人だけ、ということなどから、科目が少なくはなっています。

でも、このバランスシートは、かなり意識して作り上げてきたものです。

たとえば、仮勘定などは一切なくしています。
仮払金や立替金、仮受金などです。

ただし、これらはまったくないわけではありません。発生することもありますが、すぐに精算する、処理をすること。
月末には、残さないようにすること、万が一残ったとしても決算期末では絶対に残さないようにすること、これは当社の経理担当者にうるさく言っています。

また、当然、事業に関係ないような支出、たとえば貸付金、たとえ役員や取引先などにもこれはしないようにします。

引当金については、当社は貸倒引当金と賞与引当金を設けています。貸倒引当金は、税法の範囲内の法定のものだけです。

売掛金に関しては、「絶対にすべてを回収する」と決めて、全社をあげて毎週のミーティングで取り組んでいますので、あまり発生しません。それでも発生してしまうことはありますが、これは見込めませんので、引当金はさすがに計上はしていません。

賞与引当金は、毎月積んでいくことが大事です。
もちろん、税法上では経費になりませんが、支払った時に経費になるのは確実です。
ですからこれは、発生ベースで毎月積んでおかなければいけません。

なお、退職金については、当社は退職金共済に入っていますので、毎月の掛金を経費処理していますので、引当金を積む必要はありません。

あとは皆さんが疑問に思われそうなところでは、

前払費用というは、前家賃の分ですね。これは毎月前払費用が残ることになります。できれば、当月分は当月に払いたいのですが...

権利金というは、ある会に入るための入会金です。これも資産計上したくないのですが、しょうがないですね。

投資有価証券は、投資信託です。
見ておわかるように、当社には定期預金はありません。預金は普通預金だけでいいと思っています。

当面使わないと考えられる資金は、世界分散型の投資信託で運用しています。ほぼ安全確実で利回りのアベレージも高いですから、当社はこれにしています。
当社の関連会社で、証券代理業をやっていて、そこで扱っているから、というのもありますが。

なんだかんだ言いながら、借入金があるじゃないか、と思われるかも知れません。
これは銀行借入れではなく、グループ会社からの借入金です。

当社は税理士法人の他に、株式会社が3つ、合同会社が1つありますが、その株式会社からの借入れです。税理士法人のできる業務というのは、法律で決まっていて、それ以外の業務をやるには、どうしても株式会社などが必要です。

社員はすべて税理士法人でも、収入は他の会社に行ってしまうことがあります。したがって、グループ会社での資金繰りというのは、どうしても必要になってきます。

とは言え、借入金は今後はなくしたい、と思っています。

以上、何か当社の決算説明会でもやっているかのようになってしまいましたが、いかがでしょうか?

とにかく、意識して試算表、バランスシートを良くしていく、そのように毎月試算表を見て、じっくり考え、具体的に何をしていけばいいのか導き出し、それを実行していけば、まず

”確実に財務内容のいい会社になるでしょうね。”

これは自分の会社でやっているので、間違いないと自信を持って言えます。

当社も、自分の会社でやっていることを、社員・スタッフを通じて、顧問先に是非やっていってもらいたいと思って毎月の業務をやっております。

是非、皆様の会社でも取り組んでいただければと思います。
 

編集後記

先週は税理士試験でした。当社からも何人かが受けています。そしてそれが終わると、この業界は一斉に採用活動が始まります。
当社も、会計+ITに強い人などを募集しています。求人サイトなどにも出しています。よろしかったら見てください。

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