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事業承継税制で猶予される金額【実践!事業承継・自社株対策】第262号

事業承継税制で猶予される金額【実践!事業承継・自社株対策】第262号

2025.08.14

Q:私は父に、私1人にすべての財産を相続させたいと、一昨年いわれました。今のところ母や姉は父の財産には一切興味がなさそうです。

このため、私は、父が経営している会社を、事業承継税制を活用して承継しようと、特例承継計画を提出しました。

株価は1億円程度で、その他の財産が9億円程度あり、相続税率は45%~50%程度となりそうです。

事業承継税制を活用して贈与を受けた後、相続でも本制度を使う場合、5,000万円程度の節税を見込んでいますが、間違いないでしょうか。

A:事業承継税制を適用して、相続税を猶予した場合の猶予額は、単純に財産に応じた相続税の速算表による税率で決まるわけではありません。

この場合の納税猶予額や納付額の計算は、以下の手順で行います。(全財産をご質問者が相続する場合)

1.すべての財産をもとに相続税を計算します。
 恐らくこの場合に適用される相続税率が45%~50%いうことでしょう。

2.事業承継税制の対象となった株式評価額のみで相続税を再計算します。

猶予されるのは、ここで計算された金額です。
株式は1億円程度のため、適用が想定される税率は、15%程度(基礎控除額が引かれるため)です。

そうなると猶予される相続税は、750万円程度となります。

3.1から2を引いた額が、納付する相続税になります。

思ったより節税額(納税猶予額)は、かなり少ないのではないでしょうか?

納税猶予の取消事由への注意や手続きの煩雑さ、それにかかる費用、また現在の他の財産の額などを考えると、他にできる対策を模索した方が、結果として効果的な節税ができる可能性もあるのではないでしょうか。

また、遺留分対策のため、他の親族に対して一部財産を残す場合は、また上記の計算方法と異なるため、注意が必要です。

この場合は上記2の計算で、事業承継税制を適用しない相続人が承継した財産と、事業承継税制の対象となった株式評価を合計して、ご質問者分の相続税を再計算します。

そこで計算された額が、納税猶予される税額となります。

いずれにしても複雑な計算になってきますので、税理士にご相談した方が安心かと思います。

《担当:税理士 青木 智美》

編集後記

この時期はお盆も近く、税理士業界では税理士試験もあるため、夏休みをこの時期に取る方が多いかと思います。

税理士試験を続けていると勉強をする以外の選択がなく、晴れて試験が終わっても、何をしていいのかわからず、あっという間に8月が終わっています。

そう思うと、試験を受けていた時は、なんやかんや充実していたんだな、と思います。

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