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役員退職慰労引当金を計上すべきか【実践!事業承継・自社株対策】第148号

役員退職慰労引当金を計上すべきか【実践!事業承継・自社株対策】第148号

2023.05.13

Q 当社は、売上30億円程度の非上場企業ですが、後10年程度で息子にバトンタッチしようと考えています。

銀行借入はあるものの財務内容は良く、退職時には役員退職金も税法基準ギリギリまでもらおうと思っています。
当社には役員退職金規程はありますが、引当金は税務メリットもないため、積んでません。

これは何か問題がありますか?

A 確かに役員退職慰労引当金を引き当てても、税法上の損金にすることはできません。

したがって、ご質問のとおり引当金を積むことによる税務上のメリットはなく、非上場企業であれば、引当金を積まないといけない、ということはありません。

この場合は、役員退職金を支給した時に、損益計算書に退職金が計上されます。

金額が大きい場合は、それによってその期が赤字になってしまう可能性もあります。

ただし、赤字の原因が役員退職金であることは明らかであり、大きな問題になることはないかと思います。

損益計算書における表示も、特別損失の部に表示すれば、最終赤字は出ても、経常黒字などは確保することができます。

ただし、銀行からの借入金について、財務制限条項などが付いている場合には、要注意です。

たとえば、自己資本金額を当初借入時の75%以上確保すること。これに抵触した場合には、期限の利益を喪失し、即座に借入金を返済しなければならない、というような条項です。

こうなると、取ろうと思っていた役員退職金が取れなくなる、ということになりかねません。

財務制限条項がなくても、急激な財務の悪化は銀行からの評価が落ちてしまう可能性もあります。

役員退職慰労引当金を計上していない中小企業は多いですが、これらの会社は、含み損を抱えているとも言えます。

毎年の決算が良好で、自己資本比率が高くなって喜んでいても、実はその含み損を計上すれば、財務内容は決して良くないのかも知れません。

その意味で、税務メリットがあるかどうかとか、借入金の財務制限条項があるかどうか、という前に、経営の判断を誤らせないために、従業員の退職給与引当金や、役員退職慰労引当金を、しっかり積んでおくことが重要であると考えます。

《担当:税理士 北岡 修一》

編集後記

先週はGWで休刊、今週も発行がちょっと遅くなってしまいました。
5月というのは、3月決算の会社の決算および申告の最盛期、そこにGWですから、超繁忙になります。この集中は何とかならないものですかね...。

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