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自己信託を活用した事業承継【実践!事業承継・自社株対策】第124号

自己信託を活用した事業承継【実践!事業承継・自社株対策】第124号

2022.11.03

Q 私は、現在経営している会社の創業社長で、発行済み株式の100%を保有しています。

一人息子を後継者にしたいと考えており、本人も意欲を示してくれています。
ただし、まだ学生で若く、経営権を承継するには早いと考えています。

経営は順調で、株価の上昇も予想されますが、株式の承継対策として何か有効な方法はないでしょうか?

A 株価が低いうちに後継者に株式を贈与し、かつ、経営権は現経営者に留保する方法として、自己信託の活用が考えられます。

本事例では、承継したい自社株式を信託財産として、ご相談者が委託者兼受託者となり、息子を受益者とする信託を設定します。

この場合、株式の所有権は、受託者である現経営者にとどまることになりますが、配当等を受領する権利は後継者に移るため、税務上は、信託設定時に現経営者から後継者に対する贈与があったものとみなされます。

したがって、贈与時点の株価で後継者が贈与税を負担し、また贈与後の配当は後継者の配当所得となります。

現経営者は、信託契約において議決権行使の指図権を自身に留保することが可能ですので、財産的価値が後継者に移転する一方で、経営権は確保できます。

このようにして、現経営者が引き続き議決権を行使し会社の舵取りを行いながら、実質的に株式を後継者に移転できる点が自己信託活用のメリットです。

なお、信託設定時の贈与税負担が重いときは、相続時精算課税を用いて軽減できる場合があります。

贈与年1月1日時点で、ご相談者が60歳以上で、息子が18歳以上であれば、特別控除額(2,500万円)までは贈与税が掛からず、超える部分に一律20%の贈与税が課されます。

この場合、贈与時点の価格で相続財産に組み込まれ、相続税で精算がされること、加えて、暦年贈与を以後選択することができなくなる点に留意してください。

また、手続き面では、自己信託では委託者と受託者が同一人物となるため、信託契約は公正証書を用いる等の厳格な方法によることが信託法で定められています。

株式の承継方法には、事業承継税制の活用など様々な方法がありますが、後継者が若年の場合には、信託の活用も選択肢の一つとして検討されてみてはいかがでしょうか。

《担当:税理士 藤井 裕生》

編集後記

先週末は、神保町ブックフェスティバルに行ってきました。

コロナ禍の影響で3年ぶりの開催でしたが、様々な出版社の新本が概ね半額で買えることもあり、人出は多く盛況でした。

化学や天文学など専門外の入門書が目に留まったのですが、家の積読タワーが過去最高値を更新中のため、業務に関係する数冊を購入するにとどめました。

また来年も開催されれば伺おうと思います。

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