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前期が赤字になった場合の類似業種比準価額【実践!事業承継・自社株対策】第108号

前期が赤字になった場合の類似業種比準価額【実践!事業承継・自社株対策】第108号

2022.07.14

Q 当社の株式評価は、いわゆる大会社で、類似業種比準価額だけで評価できる会社です。

直近の決算は、コロナの影響やその他の事情もあり、赤字になってしまいました。
そこで、株価を試算したところ、平年よりもかなり下がることがわかりました。

そこで、相続時精算課税なども使って、株式を後継者に贈与してしまおうかとも考えています。

ただ、当社は配当もしていないため、類似業種比準価額の3要素のうち、2つがゼロになってしまいます。

2要素がゼロの場合は、類似業種比準価額は使えず、純資産価額になると聞いていますが、当社もそれに該当してしまうのでしょうか?

A ご質問のとおり、類似業種比準価額を計算する際の比準要素の2つがゼロになり、比準要素数が1つだけの会社になると、評価方法が変わってきます。

類似業種比準価額は、上場会社と、利益、配当、純資産の3要素を比較することにより、株価を計算します。

そのうち2つがゼロになってしまうと、比準できる状態にない、ということになります。

比準要素数が1つしかない会社の株価は、次のいずれか低い方の価額を選択します。(同族株主の場合)

・純資産価額
・類似業種比準価額×0.25 + 純資産価額×0.75

一般的には、類似業種比準価額の方が低いケースが多いので、比準要素数が1つになってしまうと、株価が上がってしまうことが多いでしょう。

ただし、比準要素数が1であるかどうかは、直前期末だけで見るわけではありません。
直前期末と、その前、直前々期末の2期間で見ることになります。

利益がゼロであるかどうかの判定は、次のように行います。

1.直前期末をベースにした判定
次のいずれもゼロであるかどうか?
A:その期の利益
B:その期と前期の利益の平均額

2.直前々期末をべースとした判定
次のいずれもゼロであるかどうか?
A:その期の利益
B:その期と前期の利益の平均額

1、2のA、Bいずれかが、ゼロでないとすると、比準要素の利益はゼロ、ということにはなりません。

上記の判定のBは、それぞれその前期との平均額です。すなわち、3期間の利益が考慮されることになります。

したがって、これらが全部ゼロになるのは、3期続けて利益がゼロである場合、ということになります。

御社のように、1期だけ利益がゼロになっただけでは、比準要素の利益がゼロになる、ということにはなりません。

したがって、御社は今までどおり、類似業種比準価額だけで評価することができます。

それにより、株価が下がったのであれば、贈与するチャンスであるともいえます。

《担当:税理士 北岡 修一》

編集後記

コロナで赤字になった場合など、確かに株式を贈与するチャンスかも知れません。
そのような場合は、是非、株式評価をしてみるといいですね。
類似業種比準価額の本年の要素が6月中旬に発表され、路線価も7月1日に発表されましたので、株式評価をするちょうどいい時期かも知れません。

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