実践!相続税対策
学校法人に財産を寄附した場合【実践!相続税対策】第704号
2025.07.23
おはようございます。
税理士の北岡修一です。
個人が持っている不動産や株式を、法人に寄附した場合は、寄附した時の時価により譲渡があったものとみなされ、譲渡益に所得税等が課されます。
好意で寄附して、一銭もお金をもらってないのに、何で税金がかかるの?と思われるのではないでしょうか?
確かにそうですよね。一般的には納得しづらい規定だと思います。
これは、個人から法人に無償で資産が移転して所得税がかからないと、所得税の負担を回避することができてしまうからです。
そのため、個人から法人に資産が移転するときは、税の精算をすることになっています。
また、資産を受け取った法人の方でも受贈益を計上することになり、これにも法人税がかかってきます。
上記に個人から法人に寄附、と書きましたが、時価の1/2未満で譲渡した場合も、同様に時価で譲渡したものとみなされてしまいます。
個人から法人への資産の移転は、よくよく気をつけておく必要がありますね。
では、学校法人に不動産や株式を寄附した場合は、どうなるでしょうか?
基本的には上記と同様に、譲渡とみなされて課税されることになります。
ただし、学校法人の方で租税特別措置法40条に基づいて、一定の要件を満たすものとして、国税庁長官の承認を受けたときは、非課税とすることができます。
また、寄附をしたのですから、寄附金控除の対象にもなります。
ただし、措置法40条の適用を受けたか、受けないかで寄附金控除の対象となる金額が変わってきます。
措置法40条の適用を受けて、所得税が非課税になった場合は、寄附した資産の取得費が寄附金控除の対象となります。
措置法40条の適用を受けずに、所得税が課税された場合は、時価が寄附金控除の対象となります。
学校法人に資産を寄附したり、遺贈寄附を考えている場合などは、税金面についても十分留意しておく必要がありますね。
《担当:税理士 北岡 修一》
編集後記
ようやく梅雨があけましたね。
とっくに明けていたのかと思っていたら、梅雨の最後にはずい分雨が降りました。これで少しは雨量は回復したのですかね?
本当に暑い日が続きます。皆様充分ご自愛ください。
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