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配偶者居住権と小規模宅地等の特例【実践!相続税対策】第700号

配偶者居住権と小規模宅地等の特例【実践!相続税対策】第700号

2025.06.25

皆様、おはようございます。
資産税部の太田遼です。

今回は、5月21日に配信した配偶者居住権のお話の続きとなります。

前回のおさらいですが、配偶者居住権とは、「残された配偶者が亡くなった夫または妻の家に住み続けられる権利」とお話させていただきました。

本日は、そんな配偶者居住権が設定された場合、小規模宅地等の特例が適用できるのかどうかお話していきます。

まず、結論ですが、配偶者居住権が設定された場合であっても、一定の要件を満たせば、小規模宅地等の特例は適用できます。

ただし、配偶者居住権は建物に対して設定される権利であるため、小規模宅地等の特例が適用されるのは、その敷地(敷地利用権や敷地所有権)に対してとなります。

この、「敷地利用権や敷地所有権」とは、どういったものなのか整理してみますと、配偶者居住権が設定されると、建物と土地は次のように分かれます。

1.配偶者居住権(配偶者が建物に住む権利)
2.建物の所有権(配偶者以外の者が取得)
※「建物」は上記2つの権利に分けられます。
3.敷地利用権(配偶者が建物と一緒に使う土地の権利)
4.敷地所有権(土地そのものの所有権)
※「土地」は上記2つの権利に分けられます。

つまり、3.敷地利用権と4.敷地所有権が「土地に関する権利」であることから、これらの敷地に関する権利が、小規模宅地等の特例の対象となるというわけです。

そのため、配偶者居住権そのものには、小規模宅地等の特例は適用できない点にご注意ください。

なお、敷地利用権と敷地所有権に小規模宅地等の特例が適用できるかを検討する場合、それぞれの権利ごとに適用要件を確認する必要があります。

敷地利用権については、配偶者が建物と一緒に使う土地の権利であることから、配偶者が相続するものと一般的には考えられます。

敷地所有権については、配偶者以外の人が相続するでしょうから、その人が小規模宅地特例の適用対象になるか、検討する必要があります。

これらの権利は自宅に関するものであることから、小規模宅地等の特例における、「特定居住用宅地等」の適用要件を確認していくこととなります。

配偶者が相続するものは、基本的に小規模宅地特例の要件を満たしますし、たとえば子が敷地所有権を相続した場合は、同居している等の要件を満たせば適用を受けられることになります。

なお、小規模宅地等の特例の適用有無の判定については、そこまで複雑ではないものの、敷地利用権と敷地所有権の面積按分等は複雑となります。

そのため、配偶者居住権を設定したうえで、小規模宅地等の特例を適用するような相続の場合は、専門家に相談することをお勧めします。

《担当:資産税部 太田 遼》

編集後記

とうとう相続メルマガも700回目となりました!
私が記事を書き始めたのは、641回からと最近なのですが、ここまで長期間、配信ができているのもお読みいただいている皆様がいらっしゃるからだと思っております。

引き続き、参考になるような記事を執筆して参りますので、今後ともよろしくお願いいたします。

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