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実践!相続税対策

相続時精算課税、受贈者が先に亡くなった場合【実践!相続税対策】第597号

相続時精算課税、受贈者が先に亡くなった場合【実践!相続税対策】第597号

2023.06.08

皆様、おはようございます。
税理士の北岡修一です。

何度か書きましたが、ご存知のとおり、相続時精算課税が、来年2024年より改正されます。

相続時精算課税は、60歳以上の親や祖父母から、18歳以上の子や孫が贈与を受けても、2,500万円までは贈与税が課されない、という制度です。

ただし、贈与した方の相続時に、相続税の対象となり、税金が精算されることになります。

この相続時精算課税について、適用後の贈与について110万円の基礎控除が設けられる、という改正です。

この改正により、来年以降、相続時精算課税による贈与が増えると予想されます。

この制度をうまく使えば、相続税の節税につながります。ただし、この制度は順番に相続が起こる、というこを前提としています。

親から早目に生前贈与をしてもらい、その財産を有効に活用した上で、親の相続で税金の精算をすればよい、という趣旨です。

ところが、贈与を受けた子が先に亡くなってしまった場合は、制度の趣旨が実現できなくなります。

この場合には、相続時精算課税による納税の権利義務を、相続人が承継することになります。

相続人が、相続時精算課税を受けた方の子だとすると、その子(贈与をした方から見たら孫)が、承継することになります。

たとえば、祖父が父に相続時精算課税により、2,500万円の現金を贈与。贈与を受けた父が、祖父よりも先に死亡。(2,500万円ですので、父の贈与税はゼロ)

孫は父の財産を相続します。この時には、そのまま父の財産により相続税の申告をします。

その財産の中には、父が祖父から贈与を受けた2,500万円も含めて申告をします。

祖父はまだ存命ですので、この時点では相続時精算課税の精算は行われません。

もし、父の財産が相続税の基礎控除以下であれば、申告をする必要もありません。

ただし、相続時精算課税を精算する権利義務は孫が承継することになります。

その後、祖父が亡くなった際に、孫は父の代襲相続人として、祖父の財産を相続することになります。

このときに、父から承継した相続時精算課税の精算の申告もすることになります。

すなわち、父が祖父から贈与を受けた2,500万円を相続財産に加算して申告することになります。

その上で、父が支払った贈与税があれば控除することができますが、贈与税は払っていませんので、2,500万円に対する相続税だけが、孫にかかってきます。

父の財産の相続税を申告し、さらに祖父の相続時にも贈与財産に課税が行われることから、いわゆる二重課税になっているとも言えます。

父が祖父から贈与を受けた財産が残っていればいいのですが、もし2,500万円を父が全部使ってしまっていたら、納税の負担だけが孫にくることになります。

相続の順番が違ってしまうと、とんだ悲劇になる可能性もある、ということですね…。

《担当:税理士 北岡 修一》

編集後記

先週から今週の初めにかけ、ベルギーのリエージュに行ってきました。娘が向こうのフィルハーモニー管弦楽団に今年より入っており、その公演を聞くというのが大きな目的でした。歴史のある劇場で満員の観客の中、やはり本場の雰囲気は華やかですね。大きな団員たちに混じって、堂々と演奏していたのは頼もしくもあり、感動&一安心です。

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