不動産 税金相談室
デッドクロスの仕組みと対策【不動産・税金相談室】

2026.09.01
Q 築年数が経過した賃貸アパートを所有しています。帳簿上は黒字が出ているのに、手元にお金があまり 残らなくなってきました。
このような状況は、「デッドクロス」というらしいですが、 どのような仕組みなのでしょうか。
A 「デッドクロス」とは、ローンの元金返済額が減価償却費 を上回り、帳簿上の利益に対して、手元のキャッシュ(現金)が不足していく現象のことです。
『デッドクロスが発生する仕組み』には、税務上のルールが関係しています。
賃貸経営における「減価償却費」は、実際の現金支出を 伴わない経費です。そのため、減価償却費が多い初期の時期は、税金を抑えつつ手元に現金を残しやすい傾向にあります。
しかし、建物や設備等の耐用年数が経過して減価償却が終わると、それまで計上できていた減価償却費が、一気に減少(または消滅)します。
一方、ローンの返済において経費にできるのは「利息部分」のみであり、「元金返済部分」は現金が出ていくにもかかわらず経費にはなりません。
これらにより、年数が経つにつれて「元金返済額 > 減価償却費」という逆転現象が生じてきます。
これが「デッドクロス」です。
デッドクロスを迎えると、減価償却費という経費が減った分だけ帳簿上の利益(所得)が膨らみ、所得税や住民税が高額になります。
その結果、「税金は高くなったのに、ローンの元金返済もあるため手元の現金が残らない」という、資金繰りの悪化を招くリスクが高まります。
デッドクロスを回避・軽減するための主な対策としては、以下のような方法が挙げられます。
1.借入条件の見直し(借り換え・返済期間の延長)
毎月の元金返済額を抑えることで、 手元のキャッシュフローを改善します。
2.適切な大規模修繕の実施
適切な時期に、外壁塗装や設備交換などを実施します。一括で費用とすることもできますが、内容によっては 資産または資本的支出となり、一度に費用とす ることができないこともありますのでご注意ください。
3.物件の売却・買い替え
デッドクロスを迎える前のタイミングで物件を売却し、 新たな収益物件へ組み替えるのも有効な戦略です。
デッドクロスは、賃貸経営を長く続けていれば多くのオーナー様が直面する課題です。
所有物件の減価償却期間とローンの返済スケジュールをあらかじめ把握し、早めに対策を講じることをお勧めします。
≪担当:税理士 青木 智美≫
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