不動産 税金相談室
税金が少なくなる遺産分割の仕方【不動産・税金相談室】

2025.11.18
Q 長男の私は、父親の所有する実家(戸建て)に父親と同居しておりましたが、本年父親が亡くなりました。相続人は兄弟3人ですが、実家の他には預金が少々あるだけで、うまく遺産分割をすることができません。
しかたなく、実家を売却して売却代金を3人で均等にわけることにしました。相続の仕方はどのようにするのが良いでしょうか?
できるだけ税金が少なくなるような分け方をしたいと思います。
A 税金をできるだけ少なくしたい、とのことですが、ご質問の場合、主に2つの税金、相続税と譲渡所得税が関わってきます。
相続税は、相続人が3人とのことで、基礎控除が3,000万円+600万円×3人で、4,800万円あります。
この4,800万円を超える財産(土地建物の相続税評価額+預金など)があると、相続税がかかってきます。
ご質問の場合、相続税を抑えるためのポイントは、居住用の小規模宅地特例を使えるように遺産分割することです。
居住用の小規模宅地特例は、お父様が居住していた実家の土地の評価を330m2まで80%評価減できる特例です。この特例を使うためには、ご質問者の場合、同居していた長男が実家を相続する必要があります。
さらに、長男は相続税の申告期限(お父様が亡くなられてから10カ月後)まで、実家の不動産を所有し、居住している必要があります。したがって、売却するのは、相続税の申告期限後になります。
この場合、他の兄弟にどのように遺産分割のお金を支払うかですが、売却後、単純にお金を支払っただけでは「贈与」になってしまいます。
そうなると多額の贈与税がかかってくる恐れがあります。
そこで、遺産分割協議書に長男は不動産を相続する代償として、他の兄弟2人に代償金をいくらいくら支払う、ということを明記しなければなりません。
そのためには、売却価格を推定し、売却の手数料や譲渡所得税もあらかじめ計算して、代償金を決めなければなりません。
また、ご質問のケースで譲渡所得税を軽減するポイントは、居住用の3,000万円特別控除を使うことです。長男はお父様と同居していましたので、長男が相続すれば、売却時にこの特別控除を適用することができます。
相続税および譲渡所得税においても、長男であるご質問者が相続することが、税金を抑える分割方法になります。
3人で共有登記をしてしまった場合には、小規模宅地特例が1/3しか使えない、3,000万円特別控除も1/3しか使えない、ということになります。
後々の税金をよく考えた上で遺産分割を検討していくことが重要です。
≪担当:税理士 北岡 修一≫
メルマガ【実践!相続税対策】登録はコチラ
⇒ https://www.mag2.com/m/0001306693.html


