不動産 税金相談室
減価償却費を持つことの有効性【不動産・税金相談室】
2025.07.15
Q アパート経営をしている者ですが、大分古くなってきて、部屋の間取りや水回り等、最近の入居者のニーズに合わなくなってきています。
入れ替えの都度、リフォームをしようと思っていますが、資本的支出となって経費にはあまり落ちないとのこと。
そうなると税金的にはあまり得策ではないのでしょうか?
A リフォームした場合の費用は、修繕費になるか、資本的支出になるかで税金面での取り扱いが変わってきます。
修繕費になれば、その年の必要経費となり、不動産所得が減りますので、その年の税金を低く抑えることができます。
修繕費を計上したことにより、不動産所得がマイナスになれば、そのマイナスは給与など他の所得から控除することができ(損益通算)、給与から控除されていた源泉所得税が還付になる可能性もあります。
修繕費にならず資本的支出となった場合は、建物や建物附属設備、備品などの資産に計上して、その耐用年数に渡って減価償却費として経費化していくことになります。
したがって、リフォームした年の税金を極端に下げることはできません。
では、資本的支出となってしまった場合は、税金的に得策ではないかというと、必ずしもそうではありません。
それは、所得税は超過累進税率である、ということにも関係してきます。
超過累進税率は、所得が増加していくと、増加した部分には順次高い税率が課されていく制度です。
資本的支出となったことにより、毎年の減価償却費が増えると、その高い部分の所得が毎年減ることになります。
すなわち、毎年減価償却費がある程度あることによって、高い税率になることが抑えらえることになります。
修繕費で一気に落とすのもいいのですが、減価償却費として、毎年の税率を抑えることによって、毎年の税額を下げる、ということも効果があります。
特に青色申告している場合は、青色申告特別控除が毎年最高65万円あったり、専従者給与なども活用することができます。修繕費を一気に計上することにより所得が減り過ぎて、これらが十分に活かされない場合もあります。
不動産所得というのは、毎年一定の収入が見込めますので、毎年ある程度の減価償却費を持つことによって、支払う税額を一定水準に抑えておくことは効果があることです。
特に、建物附属設備の償却が終わる築15年過ぎや、木造建物は22年で償却が終わりますので、それ以降、減価償却費が減りますので、その頃に新たな減価償却費を持っておくことは、有効ではないでしょうか?
《担当:税理士 北岡 修一》
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