不動産 税金相談室
土地と建物の所有者が違う場合の3,000万円控除【不動産・税金相談室】
2025.05.27
Q 母と私(長男)と妹(長女)で住んでいる自宅を、この度売却することになりました。父が数年前に亡くなり相続をしたときの事情により、建物と土地の持分が違う形になっています。
建物は母と私が1/2ずつ共有しておりますが、土地は母と私、妹で1/3ずつ所有しています。
売却益がかなり出ることになりますが、この場合の3,000万円控除は、どのようなるのでしょうか?
A 居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除は、原則として居住用の家屋を売却した場合に適用されることとなっております。居住するのはあくまで家屋であるからです。
ただし、家屋と共にその敷地を売却した場合は、その敷地の売却も特別控除の対象となります。
ご質問のケースですと、家屋を持たれているのはご質問者と母親とのことですので、お2人の土地建物の譲渡益からは、それぞれ3,000万円を控除することができます。
妹さんは家屋を持たれていないということですが、次の要件をすべて満たしている場合は、ご質問者と母親の3,000万円特別控除の未使用分があれば、その金額を控除することができます。
<要件>
1.その家屋とともにその敷地の用に供されている土地等の譲渡があったこと
2.その家屋の所有者とその土地等の所有者とが親族関係を有し、かつ、生計を一にしていること
3.その土地等の所有者は、その家屋の所有者とともにその家屋を居住の用に供していること
3人で同居しているということであれば、上記要件を満たすのではないでしょうか。
具体例をあげてみます。
・土地:
譲渡収入 8,000万円
譲渡益 6,000万円(1人あたり2,000万円)
・建物:
譲渡収入 1,000万円
譲渡益 200万円(1人あたり100万円)
長男および母親の譲渡所得
各2,100万円-特別控除2,100万円=0円
長女の譲渡所得
2,000万円-特別控除(900万円×2)= 200万円
妹さん(長女)は、ご質問者および母親の譲渡益が特別控除額3,000万円に満たない分(3,000万円-2,100万円)900万円の2人分1,800万円を控除することができることになります。なお、これも3,000万円が限度となります。
土地建物の名義が違う場合には、是非ご注意いただければと思います。
《担当:税理士 北岡 修一》
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