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相続したアパートの売却【不動産・税金相談室】

相続したアパートの売却【不動産・税金相談室】

2023.11.07

Q 父から相続したアパート(土地および建物)を売却することになりました。
確定申告において注意すべき点などがあれば、教えてください。

A アパート(賃貸用物件)を売却した場合、賃貸収入に対する不動産所得と、売却収入に対する譲渡所得の2種類の所得の申告が必要となります。

給与や年金などを受けている方であれば、それらの収入も考慮しなければなりませんが、ここでは、譲渡所得と不動産所得について確認します。

【譲渡所得】
相続後、3年10ヶ月以内に不動産を売却した場合、その譲渡所得の計算において「取得費加算」の特例を受けることができます。

譲渡所得を計算する際、売却金額から取得費を差し引くことができますが、その取得費に、納税者が負担した相続税を加算することによって、譲渡所得を減らすことができる特例です。

また、不動産の譲渡にかかる税率は、復興所得税を除くと長期39%(所有期間5年超)と、短期20%(所有期間5年以下)に分かれますが、相続の場合には、亡くなった方の取得日を引き継ぐことになります。

取得日を引き継ぐことにより、ご自身が実際に所有した期間よりも、税務上の所有期間が長くなる点に、ご注意ください。

【不動産所得】
確定申告は、1月から12月までの1年間の収支を集計して行いますが、売却した年については、売却するまでの期間の収入と経費により、不動産所得を計算しますので、注意が必要です。

その中で、特にご注意いただきたいのは、固定資産税と減価償却費です。
固定資産税は、売却するまでの期間で月割計算を行わず、納税通知書が交付された「納付確定日」、分割納付のそれぞれの「納期開始日」、または実際に納付した「納付日」のいずれかの時期に、経費に計上します。

いつ売却したのかによって、いずれか有利な時期を選択できるのです。

また、減価償却費については、不動産所得と譲渡所得のどちらに減価償却費の計算を含めるかによって、有利・不利が分かれるため、慎重に計算をしていただかなくてはなりません。

譲渡所得の計算に使う取得費は、減価償却を行った後の簿価(未償却残高)となりますから、次のいずれか有利な方を選ぶこととなります。

(1) 減価償却費を不動産所得の経費に計上する一方、減価償却後の簿価を譲渡所得の取得費とする

(2) 減価償却費を不動産所得の経費に計上せず、減価償却前の簿価を譲渡所得の取得費とする

譲渡所得の税率は長期・短期に応じて固定ですが、不動産所得は所得に応じて累進税率となりますので、どちらが有利になるかは、納税者によって異なります。
  
以上、簡単ですが賃貸アパートを売却した際の注意点を、取りまとめてみましたのでご参考ください。

《担当:税理士 樋口 智勇》

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