不動産 税金相談室
マイホームの譲渡損失の繰越控除 【不動産・税金相談室】
2019.07.12
Q 今年、実家に移り住むことになり、自宅を売却する予定です。
購入時よりも低い値段で売却することになりそうですが、売却益が出なければ、確定申告はしなくてもよいのでしょうか。
また、住宅ローンがまだ残っていますが、今年は住宅ローン控除の適用を受けることができるのでしょうか。
A 売却益が出てないため、確定申告をする必要はありませんが、住宅ローンの残高がある場合、確定申告をした方がよいかもしれません。
それは、マイホームの譲渡損失の繰越控除という、譲渡所得の特例制度を受けられる可能性があるからです。
ちなみに、住宅ローン控除の適用を受けることはできません。
住宅ローン控除の適用は、12月31日の状況が次の条件に当てはまる場合に可能となります。
● 住宅ローン残高があること
● その家を所有し、住んでいること
今年売却した場合には、当然、年末にはその家に住んでいないため、住宅ローン控除の適用は受けられない、ということです。
さて、マイホームの譲渡損失の繰越控除ですが、マイホームを譲渡して損失が出る場合は、次の条件を満たすことで、特例を受けることができます。
● マイホームの譲渡であること
● 譲渡年の1月1日における所有期間が5年を超えていること
● 譲渡契約日の前日まで、返済期間10年以上の住宅ローン残高があること
本来、不動産を譲渡した場合の利益や損失は、給与所得など他の所得と合算せず、分離して税額を計算します。
したがって、譲渡損があっても他の所得とは損益通算をすることができません。
ただし、上記の要件を満たした場合には、給与所得など他の所得と損益通算が可能となり、損益通算をしても、なお引ききれない譲渡損がある場合は、翌年以後3年間、他の所得から譲渡損を繰越控除をすることができます。
上記の場合は譲渡損失の内、住宅ローン残高から売却金額を差し引いた金額(すなわち残債の金額)までが、損益通算、および繰越控除の対象となります。
損失額と他の所得額にもよりますが、最大4年間、所得税や住民税を減らすことが可能です。
その他の適用要件としては、繰越控除の適用を受ける場合、その年分の合計所得金額が 3,000万円以下であること、適用する年分の確定申告書を提出すること、などがあります。
今年1月1日において所有期間が5年を超えているか、住宅ローンの返済期間が10年以上あるかを確認していただき、該当していれば、確定申告をした方がよいでしょう。
《担当:宮田》
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