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事前確定届出給与と役員賞与引当金【実践!事業承継・自社株対策】第275号

事前確定届出給与と役員賞与引当金【実践!事業承継・自社株対策】第275号

2025.11.13

Q:当社では従業員には、その年度の業績により決算賞与を支給しています。

ただし、役員に関しては賞与は損金に算入されないため、翌期に前年度の業績により、事前確定届出給与を支給しています。
この場合、前期決算において役員賞与引当金を計上しても良いのでしょうか?

A:前期決算において、役員賞与引当金を計上するということは、前期の職務執行に対する報酬であるという意思表示をしているもの、と判断される可能性があります。

したがって、今期の事前確定届出給与として届出を出すのであれば、前期決算で役員賞与引当金を計上すべきではない、と考えます。

ご質問のように、従業員の決算賞与については、前期中に支給するか、全従業員に支給時期と個々の支給金額を期末までに通知し、期末から1カ月以内に支給した場合は、損金に算入することができます。

ただし、役員に対する賞与は損金に算入することができません。

役員給与には、月額給与(定期同額給与)の他に、事前確定届出給与というものがあり、事前に支給日、支給金額等を税務署に届出た場合には、損金に算入することが可能です。

ご質問のケースは、この事前確定届出給与を使って、役員に対して決算賞与的なものを支給しよう、ということかと思います。

事前確定届出給与を支給することは構いませんが、これはあくまで、その支給をする期の職務執行に対する報酬です。

前期の業績を勘案して報酬額を決めるとしても、それはあくまで参考情報に過ぎないものとして、利用すべきかと考えます。

したがって、前期末に賞与引当金を計上することは、これに反することになり、不適当ということになります。

ただ、国税不服審判所の最近の裁決事例において、前期決算で賞与引当金を計上していた場合でも、翌期の事前確定届出給与が認められた事例があります。

これは、取締役会議事録に過去の職務執行の対価であることをうかがわせる記載がない、毎月の定額報酬の額と合計した上で承認していた、などの状況を勘案したものであり、その事案に限っての要素が強いのではと思われます。

したがって、やはり当期の事前確定届出給与として届け出る以上、当期の報酬として明確な処理をすべきではないでしょうか。

《担当:税理士 北岡 修一》

編集後記

今回は、事業承継や自社株対策とは、少し異なるご質問かとは思いますが、一般的な同族会社が悩みそうな問題についても、Q&Aで回答していこうかと思います。ご質問等あれば是非、お送りください。

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