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同族会社で配当をするか、しないか【実践!事業承継・自社株対策】第268号

同族会社で配当をするか、しないか【実践!事業承継・自社株対策】第268号

2025.09.25

Q:当社は父が代表で、株主は親族のみです。
父は二代目であり、いずれは私が継いでいく予定です。
株主は親族のみですが、従業員は70人以上いるため、株式の評価は類似業種比準価額で評価できるとのことです。

業績はコロナの時は赤字でしたが、その後は黒字に転換していますが、それ程業績が良いとも言えません。

そのような状況ではありますが、当社は純資産が潤沢にあるため、毎年配当をすることが慣例となっております。

コロナの時も配当は続けており、その点に疑問を感じているのですが、事業承継にあたっての影響はどうなのでしょうか?

A:確かに配当をすることによって、株価は高くなっていきます。
ご存じのとおり、類似業種比準価額は、1株あたりの配当、利益、純資産の額を類似業種と比準して計算します。

したがって、比準要素の1つである配当が出ていれば、その分評価額が高くなります。

株価が高くなれば、当然、事業承継により株式を承継する際の評価額が上がり、それに連動して承継による税金も高くなっていきます。

株主が親族だけということであれば、事業承継にかかる税負担を抑えるためにも、配当をしないことも考えられるのではないでしょうか?

ただ、どこまでの親族が株主であるかにもよりますが、株式を持っているだけで経営に関わっていない親族は、配当だけを楽しみにしている場合もあります。

それらの状況も十分考慮する必要があります。

なお、業績がそれ程よくないとのことで、赤字が続くような場合は、比準要素数1の会社になってしまう可能性がある、ことに注意しておく必要があります。

比準要素数1の会社とは、比準要素である、配当、利益、純資産の3要素の内、2つが0である会社です。

貴社の場合には、純資産は潤沢にあるとのことで、3つとも0になることはないのかも知れませんが、利益がマイナスになった場合には、配当も0であると、比準要素数1の会社になってしまいます。

そうなると、類似業種比準価額で100%評価することはできなくなり、純資産価額評価を75%取り入れていく必要があります。結果として、株価は高くなる可能性が強いです。

なお、1年だけ赤字になっただけでは、比準要素数1の会社にはなりませんので、ご安心ください。2年以上続いた場合に要注意です。

以上のことも考慮しながら、現状の株価と、配当をやめた場合の株価を試算し、今後の株主構成をどのようにしていくのか、配当や役員報酬とのバランスをどうするのが良いかなど、検討していかれることをお奨めします。

《担当:税理士 北岡 修一》

編集後記

会社が長く続いていくと、相続などにより親族株主が多くなっている会社など多いですね。そうなると様々な問題が発生してきます。親族内でも原則評価方式や配当還元方式など、評価方法が違ってきたりもします。経営に関わってない親族でも株価が高くなり、思わぬ相続税がかかることもあります。
このような場合は株主構成を今後どうしていくか、どのように変えていくかなど、考えていかないといけないですね。
是非、専門家に相談してください。

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