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実践!相続税対策

共同住宅の一部が空室となっていた場合【実践!相続税対策】第713号

共同住宅の一部が空室となっていた場合【実践!相続税対策】第713号

2025.09.24

おはようございます。
税理士の北岡修一です。

アパートやマンションなどの共同住宅の敷地は、貸家建付地として、借地権割合にもよりますが、約20%の評価減をすることができます。

ただし、相続開始時に空室がある場合は、その部分に対応する敷地については、評価減ができない可能性があります。

すなわち、一時的な空室であれば評価減が認められますが、そうでない場合は評価減ができない、ということになります。

その場合の一時的な空室であるかどうかの判断は、次のとおりとなります(国税庁の質疑応答事例)。
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hyoka/04/12.htm

1.各独立部分が課税時期前に継続的に賃貸されてきたものかどうか
2.賃借人の退去後速やかに新たな賃借人の募集が行われたかどうか
3.空室の期間、他の用途に供されていないかどうか
4.空室の期間が課税時期の前後の例えば1ケ月程度であるなど一時的な期間であったかどうか
5.課税時期後の賃貸が一時的なものではないかどうか

これらの事実関係から総合的に判断することになりますが、前後1ケ月程度の空室かどうかが、目安になります。

ただし、上記は貸家建付地評価における判断です。

もう1つ、アパートやマンションの敷地については、小規模宅地特例における貸付事業用宅地等として評価減の対象にもなります(200m2まで50%評価減)。

この場合の空室の判断は、少し違ってきます。

これに関しては、国税庁の資産課税課情報 第18号(平成22年7月13日)の(参考)に次のように書かれています。
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sozoku/100713/06.htm

例えば、相続開始の直前に空室となったアパートの1室については、相続開始時において継続的に貸付事業の用に供していたものと取り扱うことができるか疑義が生ずるところであるが、空室となった直後から不動産業者を通じて新規の入居者を募集しているなど、いつでも入居可能な状態に空室を管理している場合は、
相続開始時においても被相続人の貸付事業の用に供されているものと認められ、また、申告期限においても相続開始時と同様の状況にあれば被相続人の貸付事業は継続されているものと認められる。

小規模宅地特例の場合には、前後1ケ月程度という制限が入っていません。

単に空室かどうかというよりも、事業として継続しているかどうかが、判断基準になっているといえます。

最高裁判決(平成10年2月26日)にも、空室部分の敷地について貸家建付地評価は認められなかったが、小規模宅地特例は認められた事例があります。

いずれにせよ、空室ができるだけ出ないよう、建物の管理と募集を常にしっかり行っておくことが重要ですね。

《担当:税理士 北岡 修一》

編集後記

暑さが和らぎ過ごしやすくなってきましたね。
このまま秋らしくなっていくと良いのですが、10月はまた平年より暑いという予報もありますね。本当に秋が短くなってきた感があります。

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