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役員貸付金がある場合の相続【実践!事業承継・自社株対策】第253号

役員貸付金がある場合の相続【実践!事業承継・自社株対策】第253号

2025.06.12

Q:父は不動産賃貸業の会社を経営していますが、会社の資産には、父に対する貸付金があります。
兄弟は4人いますが、会社は私が引き継いでいく予定です。

父は自分の会社であることもあり、この貸付金を返すつもりはないようですが、相続の時には何か問題あるでしょうか?なお、母も健在です。

A:相続の際にその貸付金(お父様からみれば借入金)が残っていた場合には、その債務を相続人の誰かが引き継がなければなりません。

ご質問者が会社を引き継ぐのであれば、通常はご質問者がその債務も引き継ぐことになるのではないでしょうか。

その場合は、相続した株式などのプラスの財産から、その借入金の額を控除することができます。これを債務控除といいます。

ただし、プラスの財産よりも借入金の方が大きい場合は、その引ききれない額は、他の相続人の財産から控除することはできません。

また、ご質問者が株式を相続すると、預貯金など他の財産は、他の相続人が中心に相続することになるかも知れません。

そうなるとご質問者は、借入金を引き継いでも、それを返済する預貯金を相続できない可能性もあり、借入金の負担だけが残ってしまうかも知れません。

当然、利息も会社に支払わなければなりません。

そのようなことを考えると、できるだけお父様の生前に借入金を返済しておいてもらった方が良いのではないでしょうか?

借入金の返済方法としては、手持ちの預貯金から返済する他、代表を交代するときなどにお父様に役員退職金を支払って、その中から返済してもらうことも考えられます。

また、お父様が代表であるときに相続が発生することもあるので、死亡退職金を支払えるよう、役員退職金規定を整備しておくなども必要かと思います。

その際には、死亡退職金の受取人をどのように記載するかも注意しておく必要があります。

会社が貸付金を放棄するなども考えられますが、その場合には役員賞与扱いになり、会社にも個人にも税金がかかってきますので、避けた方が良いでしょう。

以上、ご検討いただければと思います。

《担当:税理士 北岡 修一》

編集後記

今日は役員貸付金についてのQAでしたが、役員借入金があるときも厄介ですね。役員借入金=会社への貸付金は相続財産になりますので、それに相続税がかかってきます。
会社が返済できれば問題ありませんが、なかなか返済できないケースが多いですね。
会社と個人の債権債務はできるだけないようにしておくこと、公私混同がないようにしておくことが、経営面でも相続面でも大事ですね。

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