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不動産 税金相談室

1万円で不動産を譲渡した場合【不動産・税金相談室】

1万円で不動産を譲渡した場合【不動産・税金相談室】

2025.06.03

Q 数年前に父の相続で取得した不動産を売却することに決めました。
この不動産は、生前父が倉庫に利用していました。

建物は相当古く、修理なしに利用できる状況ではありません。
また、地方にあり、近隣に家が少なく、ここ2~3年の売買事例は見当たりませんでした。

固定資産税や管理に費用がかかることから、不動産会社さんにほぼ引き取ってもらう形で、1万円で譲渡する予定です。

固定資産税評価額は、200万円程度ついていますが、1万円で譲渡した場合、みなし譲渡課税はされるのでしょうか。

A みなし譲渡課税とは、時価よりも著しく低い価額で個人が法人に譲渡した場合に、時価で譲渡したものとみなされて、所得税が課税されるものです。 

また、時価よりも著しく低い価額とは、時価の1/2より低い価額をいいます。

ご質問の場合、時価が200万円である物件を、ご相談者様が法人である不動産会社に1万円で譲渡したとすると、1万円しかもらっていないにもかかわらず、200万円の譲渡収入があったものとして、所得税を計算する必要があります。

ただ、固定資産税評価額が、必ずしも所得税でいう時価を反映しているとは限りません。

そもそも所得税では、時価はいくらであるかという明確な定義がされていません。むしろ、複雑すぎて一律に定義することができないという方が正しいように思います。

そうなると、時価はいわゆる市場価格と考えるしかないのでしょう。
時価を正確に把握するため、不動産鑑定を取るという方法もありますが、鑑定費用などもかかることから、あえて取るということは少ないように思います。

今回の状況は、まったくの第三者が購入するケースであり、売主は高く売りたい、買主は安く買いたいと、利害が対立するなかで決まった価格ですので、この1万円が時価と考えても問題ないと思われます。

特に建物が相当古いとのことですので、購入後は修繕をしたり、取り壊すことになるかと思います。この修繕あるいは取壊し費用等の負担を、どちらがするのか、ということも価格に反映されているものと思われます。

以上により、今回の場合は時価で売却したものと考え、みなし譲渡課税はかからず、1万円を譲渡対価とし所得税の計算を行って差し支えないのではないでしょうか。

なお、売買が個人間であったり、親族間であったり、相続贈与のときですと、今回の考え方とは異なる可能性があるため、譲渡先や譲渡方法を変更される場合は、別途ご留意ください。

《担当:税理士 青木 智美》

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