相続した株式を発行会社に譲渡した場合【実践!事業承継・自社株対策】第28号

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ここ数回は事業承継税制について、書いてきましたが、一旦離れて他のことについても、書いていきたいと思います。

今回は、自己株式を発行会社へ売却した場合の課税について、取り上げます。

非上場株式を発行会社に売却した場合、単純な株式の譲渡とは異なった課税となってきます。

自己株式を会社が買い取るのは、たとえば、親族に分散されていた株式を買い取って、できるだけ後継者あるいはその家族に、株式を集中させたい場合などに、行うことがあります。

また、役員や社員が持っている株式を、退職に際して会社が買い取る、といったケースもあるでしょう。

さらに、相続した株式を相続税を払うためであったり、株式を分散させないために、会社が買い取ることもあります。

この場合の株式譲渡にかかる税金は、通常の譲渡所得だけでなく、みなし配当がからんできます。

発行会社が、株主から自己株式を買取るということは、税法上は、資本金等の払戻しと利益剰余金の分配が行われたものと考えます。

資本金等の払戻し部分に関しては譲渡、利益剰余金の分配に関しては、配当が行われたものとみなすのです。

たとえば、自己株式を1株1,500円で買い取ったとします。この場合の1,500円の内訳は、次のとおりとします。

・資本金等(資本金や資本準備金等) 500円
・利益剰余金からの分配 1,500円-500円= 1,000円

したがって、500円が譲渡所得の収入、1,000円がみなし配当となります。

このみなし配当については配当所得となり、自己株式の買取りを行う時に、源泉徴収(20.42%)を行うことになります。

譲渡所得に関しては、収入から購入した時の取得費を控除し、プラスが出れば譲渡所得として確定申告をします。

この自己株式の買取りについて、相続した非上場株式の場合には、課税の特例があります。

それは、相続または遺贈により取得した非上場株式を、相続開始の日の翌日から、相続税の申告期限の翌日から3年を経過する日までの間に、発行会社に譲渡した場合です。

この場合には、譲渡した金額のすべてが譲渡所得になります。

株式の譲渡所得の税率は、所得税・住民税合わせて、20.315%となります。

一部がみなし配当になった場合は、この配当所得の部分については、総合課税となります。

総合課税は累進税率ですので、たとえば、所得1,000万円の人は、所得税33%+住民税10%で、計43%にもなります。

総合課税ですから給与などと合算しますので、給与所得で既に1,000万円を超えていれば、みなし配当には、上記のように43%以上の税金がかかってくるわけです。

株式の譲渡所得となって、分離課税20.315%で済むのは、非常に大きなメリットと言えるでしょう。

これは、相続税を納付するために、株式を会社に譲渡する場合もあるため、特例が設けられています。
したがって、相続税の申告期限から3年内と、期限が切られているわけです。

ただし、この特例を使うためには、譲渡する時までに

「相続財産に係る非上場株式をその発行会社に譲渡した場合のみなし配当課税の特例に関する届出書」を、

発行会社を経由して、発行会社の所轄税務署長に提出する必要がありますので、これを忘れないように注意しないといけません。

もう1つ要件としては、相続税の納付税額があることが条件です。相続税の納税額がなかった場合には、この特例は適用できず、みなし配当が発生することになります。

もう1点、上記要件に当てはまる場合は、相続税の取得費加算の特例も使うことができます。

これは、支払った相続税の内、その譲渡した株式にかかる相続税を、譲渡所得から控除する取得費に加算することができる、という特例です。

自社株を相続した時は、思わぬ多額の相続税が発生することがありますので、上記特例などの活用も視野に入れておくことが重要です。

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