実践!事業承継・自社株対策
買収した会社の繰越欠損金の利用制限【実践!事業承継・自社株対策】第286号

2026.02.05
Q:父が経営する会社をいずれ承継する予定ですが、この度、私が中心となって新規事業を別会社で行う計画を立てています。
たまたま知人が経営していた会社が休眠になっており、その会社を譲り受けて事業を行うことも検討しております。その会社には繰越欠損金があり、この欠損金により節税もできると考えておりますが、いかがでしょうか?
A:欠損等法人を買収した場合は、繰越欠損金の利用を制限する規定があり、それに抵触すると繰越欠損金を利用することはできません。
欠損等法人とは、次の2つの要件を満たす法人です。
1.株主構成が変更されたことに伴い、特定の株主によって50%を超える株式を保有(特定支配関係)されることとなった法人
2.特定支配関係が生じた事業年度において、その前事業年度以前に生じた繰越欠損金または含み損のある一定の資産を有する法人
欠損等法人は、特定支配日から5年以内に一定の事由に該当した場合には、繰越欠損金の繰越控除不適用、および資産の譲渡等損失額の損金不算入の制限が課されます。
この一定の事由の1つに、休眠会社が特定支配日以後に事業を開始すること、というものがあります。
ご質問のケースは、これに該当するものと思われます。したがって、その会社が有していた繰越欠損金の繰越控除はできないものと考えられます。
この規定は、繰越欠損金を有する企業を買収して、自社の所得と相殺することを目的とする行為に対して制限をかけるものですので、十分ご注意いただければと思います。
《担当:税理士 北岡 修一》
編集後記
欠損法人を買収して節税をする、というのは昔はよくありましたが、上記のように難しくなっています。そもそも欠損法人には債務もあるでしょうから、それをどう処理するのかなどの問題もあります。新規事業を始めるなら、過去のものなど背負わず、心機一転、新会社で未来に向かってやっていくのが健全ですよね。
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