実践!事業承継・自社株対策
経営者保証を外すメリット【実践!事業承継・自社株対策】第273号

2025.10.30
Q:父が経営する会社を、将来事業承継したいと考えております。
ただ、父が会社の銀行借入れについて、経営者保証をしていることが気になっております。
事業承継する前に経営者保証を外して欲しいのですが、父に経営者保証を外すメリットを伝えて説得したいと考えています。
具体的にどのようなメリットがありますか?また、経営者保証を外す方法などはありますか?
A:経営者保証を外すメリットには、次のようなものが考えられます。
<経営者個人にとって経営者保証を外すメリット>
・個人資産の保全
万一会社が返済不能となっても、自宅や個人資産を差し押さえられるリスクが減少し、経営者の生活基盤が守られます。
・精神的な安心感
『会社が倒れたら個人も破産』というプレッシャーが和らぎ、健全なリスクテイクが可能になります。
・事業承継、M&Aの円滑化
後継者や買収企業にとって『保証を背負わされない』ことは大きな安心材料になりますので、事業承継や株式譲渡がスムーズに進みます。
<会社にとって経営者保証を外すメリット>
・経営の健全化アピール
保証解除は『財務基盤が一定水準以上健全』と金融機関に認められた証になりますので、取引先や社員への信頼性向上にもつながります。
・人材確保、組織強化
『社長が個人保証を外している=会社のリスクが経営者個人に依存していない』ため、幹部人材や外部役員を呼び込みやすくなります。
・資金調達の多様化
保証を外しても借入できる状態は、他行や投資家からの評価も高く、追加調達や新規借入の幅を広げられます。
経営者保証を外す方法ですが、たとえば、信用保証協会や日本政策金融公庫には、経営者保証が免除される制度があります。
信用保証協会では、信用保証料の上乗せで経営者保証が不要となる制度(事業者選択型経営者保証非提供制度)があります。
また、日本政策金融公庫でも「経営者保証に関するガイドライン」に対応する制度として、経営者保証免除特例制度があります。
各制度の要件については、HP等を参照していただければと思います。
信用保証料を上乗せして支払うことにはなりますが、経営者保証を外すことは、上記のような様々なメリットがありますので、是非、検討してみると良いかと思います。
《担当:税理士 北岡 修一》
編集後記
経営者保証を外すには、上記+「いい会社」にしていくことが大事ですね。特に財務内容を良くしていけば、保証なしで借りられることも増えてくるかと思います。まずはそれをやっていきましょう。
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