実践!事業承継・自社株対策
会社への貸付金を債権放棄する場合【実践!事業承継・自社株対策】第250号
2025.05.22
Q:私は、子どもへ会社の事業承継を数年かけて行い、一昨年、子どもに代表権を譲って会長に就任し、昨年は、株式の譲渡も行いました。
私の会社は、コロナの影響もあり一時大きな赤字を出し、資金不足から、私個人のお金を5,000万円貸付け、その資金でなんとか数年間しのいできました。
子どもからは、この資金は返済するとは言われているものの、私としては、これから事業を始める子どもに、あまり苦労をかけたくない思いです。
貸付金を債権放棄した場合、何か税金がかかることはあるのでしょうか。
A:5,000万円の貸付金を債権放棄した場合、会社に債務免除益が生じます。
本来返すべき借金が免除されたため、その分を利益として考える必要があります。
ただ、コロナ期間で大幅な赤字が出ていた場合は、その赤字は、10年にわたり翌年以降に生じた利益から控除することができます(青色欠損金の繰越控除)。
法人税の申告書の別表7をご確認いただいて、もし繰越欠損金があれば、その分、債務免除益を圧縮することが可能です。
もう1つの注意点として、債権放棄により会社の負債が減少することで会社の価値が増加し、会社の株価が上がる、ということです。
株式は既に子に譲渡が完了したとのことですが、ご質問者の債権放棄により、子の持つ株式の株価が増加することになります。
これは、間接的にご質問者から贈与を受けたことと同じになり、子に贈与税が発生する可能性があります。
ただし、もともと会社が債務超過であり、債権放棄後も債務超過の状況であれば、会社の価値は0円で変わらないことになりますので、贈与税は発生しません。
会社の状況に応じて返済するか、放棄するか、いずれがよいかご検討いただければと思います。
《担当:税理士 青木 智美》
編集後記
5月に入ったばかりと思っていましたが、早くも30度超える日がありました。
真夏が心配になるばかりですが、日陰を歩く分には、気持ちの良い気候です。
お散歩日和かと思えば、週間天気予報はこれから2週間ほとんど雨ばかりで少し残念です。
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