実践!事業承継・自社株対策
同族株主でも配当還元方式で評価できる場合【実践!事業承継・自社株対策】第248号
2025.05.08
Q:当社は私の父が創業した会社で、親族のみで株式を持っている同族会社です。
父の兄弟なども出資していたこともあり、その子である私から見たら従兄弟なども株式を持っています。
既に父は亡くなっているので、経営は私が継いでおりますが、私の持株割合は20%程度であまり多くはありませんが筆頭株主です。株式は親族にかなり分散している形です。
従兄弟たちの持つ株式は、3%~4%程度で経営にはタッチしていません。
従兄弟たちが持つ株式は、親族ということで高い株式評価になるのでしょうか?
それとも配当還元方式で評価できるのでしょうか?
A:親族(6親等内の血族、3親等内の姻族)のみで株式の30%以上を持っている会社は、同族株主のいる会社になり、基本的には同族株主の株式評価は、原則評価になります。
すなわち、類似業種比準価額や純資産価額をベースに株式を評価することになり、比較的高い株価となります。
同族株主以外の株主については、特例的評価、すなわち配当還元方式で評価できるので、低い株価となります。
従兄弟は4親等になりますので、当然親族となりますので、基本、原則評価となります。
ただし、持株割合(正確には議決権割合)が5%未満の場合には、配当還元方式で評価できる可能性があります。
それは、他に中心的な同族株主がいる場合で、その方がその会社の役員でない場合です。
中心的な同族株主とは、同族株主とその配偶者、直系血族、兄弟姉妹および一親等の姻族の持株割合の合計が、25%以上である場合のその株主をいいます。
自分を中心に上記の親族で25%以上持っている株主、ということですね。
ご質問者は20%の株式を持っているということですから、配偶者、直系血族(親や子)、兄弟姉妹および一親等の姻族(配偶者の親など)が5%以上持っていれば、中心的な同族株主になります。
そうであれば、従兄弟が持つ3%~4%程度の株式は、配当還元方式で評価できるということになります。
したがって、経営にタッチしていない5%未満の同族株主の株式評価を上げないためには、ご質問者が中心的な同族株主であり続けるように、気を付けておく必要がありますね。
《担当:税理士 北岡 修一》
編集後記
GWも終わり決算、株主総会の時期ですね。私どもも年間では3月に続いての繁忙期ということになります。
GWがあるためにその後は結構ハードな日程になってきますね。できれば決算が3月に集中しないようにして欲しいと思いますが、官公庁や業界の慣習などで、この時期に集中してしまうことが多いのですかね。
弊社で設立する場合は、できるだけ3月を避けるようにしてもらっています。
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