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実践!相続税対策

小規模宅地特例の選択同意【実践!相続税対策】第697号

小規模宅地特例の選択同意【実践!相続税対策】第697号

2025.06.04

おはようございます。
税理士の北岡修一です。

相続税申告において、小規模宅地特例を適用する場合は、その対象となる土地を取得したすべての人の同意がなければ、適用することができないことになっています。

小規模宅地特例は、自宅(居住用)の場合は330m2まで80%評価減、アパートなど貸付用の土地は200m2まで50%評価減をすることができます。

その他にも、事業用や同族会社の事業用の土地などは400m2まで80%評価減をすることができます。

これらの土地が複数ある場合には、どの土地についてこの小規模宅地特例を使うか、選択する必要があります。

これらの土地には、上記のように面積制限がありますが、たとえば、自宅とアパートの土地があって、それぞれ小規模宅地特例を使う場合、フルに上記の面積まで評価減をすることはできません。

面積按分することになります。

たとえば、自宅の土地が330m2で、アパートの土地が200m2だったとします。それぞれ、ちょうど限度面積ですね。

この場合、自宅330m2に小規模宅地特例を使う選択をした場合には、それで評価減は終わりで、アパートの方は小規模宅地特例を使うことはできません。

逆にアパートの土地200m2に小規模宅地特例を使った場合には、自宅に小規模宅地特例を使うことはできなくなります。

それぞれ違う相続人が相続した場合には、どちらに小規模宅地特例を使うか、選択の同意をする必要がある、ということですね。

また、たとえば、自宅の土地が165m2、アパートの土地が150m2だったとします。

この場合に、自宅の土地165m2に小規模宅地特例を使うと、限度面積(330m2)のちょうど半分を使ったことになります。

そうなると、アパートの土地に限度面積の残り半分の面積、200m2×50%=100m2に小規模宅地特例を使うことができます。

どちらの土地を先に小規模宅地特例を使うか、相続人間で同意して選択する必要があります。

アパート(貸付用)の土地が複数ある場合には、どの土地で小規模宅地特例を使うか、それぞれ取得した相続人間で同意する必要があります。

通常は、評価の高い土地で小規模宅地特例を使った方が、相続税は安くなりますので、そういう選択をすることが多いですね

同意ですから、相続人間の仲が良ければまったく問題ないのですが、こじれてしまった場合は、なかなか同意できないケースもあります。

こじれてしまって、申告期限までに遺産分割できない場合は、そもそも小規模宅地特例を使うことはできません。

その場合は、申告書に3年以内の分割見込書を添付して申告することになります。3年以内に分割できたときに小規模宅地特例を使うことができます。

遺産分割できているのに、小規模宅地特例の選択同意が申告期限までにできないと、この場合には分割見込書などを出すことはできませんので、小規模宅地特例が受けられなくなってしまいます。

通常は同じ税理士に頼んで申告することが多いですので、申告期限までにどの土地を適用するか、間に入って取りもって決めて申告するでしょう。

私どもでも、ここで同意できなかったことはありません。
遺産分割の割合を変えるとか、何とか双方納得できる方法はあるものです。

最悪は、それぞれが違う税理士に頼む場合ですね。
遺産分割はできたけども、疎遠である場合や、仲が悪い場合です。

この場合は、それぞれの相続税申告で同意なく小規模宅地特例を適用してしまうと、後で小規模宅地特例が否認され、双方相続税が追徴されることになります。

その後、同意されたとしても申告期限を過ぎていれば、小規模宅地特例の適用を受けることはできません。

以上、小規模宅地特例を受けるには、同意が必要だということを頭に入れておいて欲しいですね。

相続税の申告書に同意した旨の記入や添付を失念した場合であっても、適用を受けられなくなってしまいますので、注意したいところです。

小規模宅地特例の影響は結構大きいので。

《担当:税理士 北岡 修一》

編集後記

近々私どもの事務所に、違う税理士で申告する相続税案件が入ってきそうです。
現在、弁護士さんの方で遺産分割を取りまとめているようですが、兄弟相続で代襲相続がからむため相続人同志が疎遠で、違う税理士に頼む意向のようです。
お金も倍近くかかるし、上記のような問題もあるし、迷うところもありますが、お世話になっている方の紹介でもあるし、悩ましいところですね。

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