実践!相続税対策
外国に住む子の小規模宅地特例【実践!相続税対策】第696号
2025.05.29
おはようございます。
税理士の北岡修一です。
自宅の土地建物を相続する場合には、330m2まで80%も評価減ができる、ということはこのメルマガで何度も書いています。
ただし、相続する人によって、使える場合と使えない場合があるので、要注意です。
使えるのは、配偶者が相続した場合、同居親族が相続した場合、そして家なき子が相続した場合です。
家なき子とは、簡単に言うと、相続開始前3年内に自分や配偶者、3親等内の親族、自分が経営する会社などが所有する家屋に住んだことがない人です。
近年、これに追加要件が加わっていますが、それは後ほど話します。
では、子が外国に住んでいる場合はどうでしょうか?
海外赴任や移住などで、外国に子が住んでいるときに、親が亡くなり、その子が自宅を相続した場合、小規模宅地特例は使えるのでしょうか?
配偶者や同居親族がいる場合は、他の人が相続しても小規模宅地特例は使えません。その場合は、配偶者や同居親族が相続すれば、もちろん使えます。
配偶者や同居親族がいなく、たとえば、相続人は外国に住んでいる子しかいない場合は、その外国にいる子が家なき子であれば、小規模宅地特例を使うことができます。
では、外国に住んでいる子が、外国に自宅を所有していた場合はどうでしょうか?
家なき子の要件として、3年内に自分や配偶者等が所有する家屋に住んだことがない人、と上記に書きました。
ただし、この家屋は日本国内にあるものに限られています。
そうなると、外国に自宅を持って住んでいても家なき子になれる、ということになります。
ただし、ここでもう1つ家なき子の要件があります。
それは、相続開始時に住んでいた家屋を、相続開始前のいずれの時においても所有していたことがないこと、というものです。
これは日本国内の家屋に限られていません。
したがって、相続開始時(親が亡くなったとき)に海外で住んでいる家屋を、自分が所有している(過去も含む)のであれば、やはり家なき子にはなれない、ということになります。
何だかややこしくて、わかりづらいかも知れません。
簡単にいうと、外国に住んでいる子でも、相続開始時に自分が所有している、あるいは所有していたことがある家屋に住んでいる場合は、家なき子にはなれない、ということになります。
ただし、配偶者が所有している家屋に住んでいる場合には、家なき子にはなれる、ということになりますね。
3年内に自分や配偶者等が所有する家屋に住んだことがない人、という要件には外国にある家屋は含まれないからです。
結論:したがって、外国に住んでいる子が、将来小規模宅地特例を受けようとするのであれば、自分では決して自宅は買わず、買うのであれば配偶者に買ってもらう、
ということ、ですね。
《担当:税理士 北岡 修一》
編集後記
実は、うちの場合が今日のメルマガの内容に該当します。
子は2人いますが、長男はカナダ、長女はベルギーに住んでいますので、まさにうちのことですね(笑)。
ただ、2人ともまだ家は持っていませんので、将来家なき子になるべく、家は買わないように言っておかないといけない
ですね。今度帰ってくるので言っておこうかな...。
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